第5章 契約
第82話 人ならざる者たち
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の契約者を失って以来、人間界との関わりを断って居たと言って居ましたから……。
ただ、その事と、先ほどミス・ノートルダムが言った、俺に与えた宿題の意味がまったく分からないのですが。
もっとも、何の話か判らないけど、既にクリアした宿題の話ならば別に重要な事では有りませんか。
そう、単純明快に考える俺。まして、考えなければならない事がそれ以外にも有り過ぎて、差して危険な事柄に繋がるとも思えない事に――
「ところでな、シャルロット姫。姫は、始祖の使い魔について知って居るかな」
――イチイチ思考を割く余裕など、俺の頼りない脳には存在して居ません。などと呑気に考えた瞬間、オスマン老がタバサに対して問い掛けて来る。
始祖の使い魔。このハルケギニア世界で始祖と言えば、ブリミルの事。そして、その使い魔と言うのは確かガンダールヴと呼ばれる存在だったはず。
地球世界の方の伝承では、古エッダの中に名前だけの記載がされて居るドワーフで、その属性を俺と同じように地球世界から召喚された才人が持たされていたはずですか。
「『始祖ブリミルの使い魔たち』と言う書物に記載されて居た程度の内容ならば、存じ上げて居ります、オスマン老」
普段ならば小さく、動いたかどうか判らないレベルで首を動かし、肯定を示すタバサなのですが、今宵は創られたシャルロット姫と言うペルソナを演じ続ける為に、普通の高貴な姫の口調で答えるタバサ。
ただ、もしかすると、普段のタバサ自体が演技された姿で、本来の彼女を示すペルソナはこちらの方の可能性も少なくはないと思うのですが。
その答えを聞いたオスマン老が軽く首肯くと、自らのローブの内側から一冊の古い羊皮紙の書を取り出す。
凝った装丁でもなければ、重々しい……古い魔道書の類が放つ独特の雰囲気を纏って居る訳でもない、只の羊皮紙の書籍。
「これの事じゃな、シャルロット姫」
その取り出された書物に視線を送るタバサ。そして、軽く首肯き、
「はい、間違い有りません」
……と短く答える。しかし、更に続けて、
「しかし、オスマン老。その書物は確か教師のみが閲覧出来る書架に納められていた貴重な書物なのでは……」
少しその表情を曇らせながら、そう問い掛けるタバサ。
但し、その事を魔法学院の一般生徒にすぎないタバサが知って居ると言う事は、彼女は一般生徒が閲覧出来ない書架に納められている貴重な書物を勝手に閲覧して居たと言う事に成ると思うのですが。
もっとも、書物で有れば、ハルケギニアの言語であろうが、和漢に因り綴られた書籍で有ろうが何でも読む、やや乱読気味の彼女ならば、教師のみが閲覧を許された書架で有ろうとも関係なく、興味を覚えた書籍には目を通すのは当然ですか。
しかし……。
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