エピローグ
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フはふたりのほうに意識を戻した。俺もふたりの様子を見る以外にこれといってやることもないので戻す。
遠目でよく分からないが、別れに寂しさが膨らんでいるのかふたりは泣いているように見える。高町はテスタロッサに抱きつき、テスタロッサは高町を優しく抱き締めた。その状態のままふたりは会話を続けている。
「う……あんたんところの子はさ……なのはは、本当に良い子だね。フェイトが……あんなに笑っているよ」
ふたりの様子を見ていたアルフは感動したのか、泣き始めてしまった。会話の内容が聞こえているのも理由だろうが、主と使い魔の間には精神リンクがあると聞いた。それによってテスタロッサの気持ちが流れ込んでいるのかもしれない。
ユーノはそんなアルフを見て、彼女の頬に手を置いた。泣いている子供をあやしているという解釈でいいだろう。
そろそろ時間がなくなってきたのか、クロノが立ち上がって高町達の方へ歩き始める。彼から視線で合図をもらった俺は、少し遅れる形であとを追った。
「時間だ。そろそろいいか?」
クロノに話しかけられた高町はテスタロッサから離れた。テスタロッサは俺の姿を確認すると涙を拭う。
彼女はこちらに話しかけそうな気配を見せたが、俺は視線で高町の方を見るように合図した。高町が話しかけようとする素振りを見せていたからだ。
「フェイトちゃん」
「……ぁ」
高町は髪を結んでいたリボンを解き、テスタロッサに差し出した。おそらく思い出の品として、テスタロッサにあげようとしているのだろう。
それを見たテスタロッサも自分のリボンを解いて高町に差し出す。ふたりは見詰め合ったまま、互いに差し出されているリボンを手に取った。
「……ありがとう、なのは」
「うん……フェイトちゃん」
「きっとまた……」
「うん……きっとまた」
ふたりは名残惜しそうにしながらも、それぞれリボンを受け取った。
アルフは泣き止んで近くに来ていたようで、ユーノを高町の肩に置いた。彼女に気が付いた高町は、そのまま別れの挨拶を始める。
「あの……」
「……悪いけど、俺は君に渡せるようなものは持ってないんだ」
「え、あの、それはいいの。その……君の名前……教えてくれないかな?」
人に名前を聞いたりしたことがほとんどないのだろう。テスタロッサの顔は、恥ずかしさで真っ赤になっている。
無駄な会話をしている時間もなく、勇気を出して自分から名前を尋ねてきた彼女にいじわるをするのも良心が痛むため、素直に言うことにした。
「夜月翔だよ」
「ヤヅキ……ショウ……あの」
「何?」
「その……ショウって呼んでもいいかな?」
同年代の子に名前を呼ばれるのに慣れていないため、名前で呼ばれることを考えると、どことなくくすぐったい
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