第十二話 王女と侯爵
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爵から礼をもらわないと」
「・・・流石空賊」
「まぁ別にいらないならお前達の分まで俺が貰っておくが?」
バルフレアの台詞を聞きヴァンは侯爵邸に行く気になってしまった。
セアが無理やりラバナスタに連れて帰ろうかと思ったが礼だけなら貰っておくかと思い侯爵邸に行く事にした。
侯爵邸に行くとオンドール侯の政務が終わる夜まで待たされることになった。
そして警備兵に呼ばれ、執務室に案内された。
机の向こう側に初老の侯爵が座っているのは前に来た時と同じだ。
最初はアーシェとバッシュとオンドール侯爵で情報交換をしていた。
「あの調印式の夜・・・父の死を知ったウォースラはラバナスタに戻って私を脱出させました。ヴェインの手が伸びる前にあなたに保護を求めようと」
「ところが当の私が貴女の自殺を発表・・・帝国に屈したように見えたでしょうな」
侯爵がアーシェを見るとアーシェが頷いた。
それを見て侯爵は発表の経緯を話した。
「あの発表はヴェインの提案でした。当時は向こうの意図を掴めぬままやむなく受け入れましたが・・・狙いは我等の分断であったか」
そう侯爵がアーシェの自殺の発表をしなければアーシェとウォースラは侯爵と協力しもっと効果的に帝国に抵抗できたはずだ。
だが侯爵がヴェインの提案を受け入れたせいで王女と侯爵は分断されてしまった。
「でもそれも終わりです。私に力を貸してください。ともにヴェインを!」
アーシェの言葉を聞いた侯爵はため息をついて立ち上がりアーシェを見た。
「抱っこをせがんだ小さなアーシェは・・・もういないのだな」
侯爵は感心したような声で言った。
「殿下は大人になられた」
「それではおじさま・・・」
「しかし仮にヴェインを倒せたとしてその後は?」
侯爵はそう言いアーシェから顔をそらし窓の方に体を向ける。
「王国を再興しようにも王家の証は奪われました。あれがなければブルオミシェイスの大僧正は殿下を王位継承者とは認めんでしょう」
「それは・・・」
「王家の証を持たない殿下に今できることは何ひとつございません」
そう言いながら侯爵はアーシェに振り返った。
「しかるべき時までビュエルバで保護いたします」
「そんな、できません」
「では今の殿下になにができると?」
侯爵が少し怒気を含ませた声で言った。
その様子をみていたバルフレアが侯爵に話しかける。
「王女様を助けた謝礼はあんたに請求すりゃあいいのか?」
侯爵はバルフレアの方に向き、アーシェは部屋から出て行った。
「まずは食事だ。最高級のやつをな」
「用意させよう。少々時間がかかるが?」
「だったらそれまで風呂でも入るさ。いくらか冷や汗掻かされたもんな。あ、あとは着替え
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