5章
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「もう少し周りに気を配れ。一人じゃないんだ」
「くっ、わかっている!
集合! 10分の休憩の後にもう一戦行う!」
エミヤシロウは森の中の訓練場にいた。周りにはシュヴァルツェア・ハーゼの面々が泥だらけ傷だらけで休憩に入ろうとしていた。
エミヤシロウ一人対軍の精鋭という方式であるのだが、それで訓練になるのか疑問に思うだろう。
しかし、午後にもなりきらない時点で4戦して隊は4敗。
奇襲や陣形の甘さを突かれ敗北を決めるフラッグを取られている。エミヤシロウの敗北条件はペイント弾を撃たれるか自身がこれ以上は無理だと判断した時だ。
しかし、その状況になるにはまだまだ先のようだ。
「なんだ、思いの外楽しそうにやっているではないか」
「なに、昔を思い出していただけさ」
軽口を叩きつつ千冬からドリンクを渡される。
「昔、か。
過去の経歴が分からない奴の過去とはどのようなものなんだ?」
「普通に生き、鍛え、今に至る。それだけだ」
「それだけで銃弾を避ける奴がいるか」
狙われていのが分かっているかのように避け、正面から撃たれても回避する。最初こそ隊の面々は驚き身体が固まったかのように隙を見せたが、今では当たり前のように躊躇なく銃を撃ってくる。
「鍛えた結果だ」
それだけしけ言えないこともわかっている。
隠し事があることは誰しも気が付いているが、それを話させようとは誰もしない。その一線を超えてしまったらいけないような気がしている。
『こちらにも事情があってね、君に出て行ってもらうのは5日程かかる。
…身勝手だと思うが諦めてくれ』
『理不尽とは思わん。私は身元不明でどこまでが信じられるかわからない。そんな人物をこれまで置いてくれただけでも感謝している』
『…そうか。だが、これだけは言わせてくれ。
君に恨みも何もない。世界の為に君には犠牲に…なってもらう』
世界と言っていた。
彼の予想では今の世界の情勢が関係しているのではないかと考えている。
男性の立場が弱い。これが原因の一つではないのか。
確かに織斑千冬のように強い女性は多くいるが、それに匹敵する男性は今のところ確認されていない。いや、探せばいるのかもしれないが、それを実行に移そうと考える者がいないだろう。
そんな世界の中にエミヤシロウという異端が現れた。
彼は彼女に負けはしたが、訓練や手合わせでは勝ち越している。それはラウラからしてみれば夢だと思ったことだろう。
彼が持っているかもしれない秘密を知ることができれば世の男性が強く、ISが生まれる前の世の中に戻すことができるかもしれない。戻すことができずとも少しは立場を回復させることができるかもしれない。
それをドイツ
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