5章
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が独占してしまうことは世界を敵に回すことと同義かもしれない。
ならば隠せ、というのもいずれは存在が判ることだろう。そしてどの国がそれを行おうとも同じような結果が待っているのかもしれない。
ならばここで彼にそのことを分かってもらい犠牲になってもらう方がいいのかもしれない。現状に甘んじてしまうが、なにかの火種になるよりはまだ良いかもしれない。
「…何のために鍛えたのか」
「なんだ?」
「いや… なんでもない」
そう、何のために鍛えたのか。
ここにいるのはその結果だが、いまだ過程だ。結末ではない。最期でもない。あの時、人としての最期を迎えると思った時があったが、それが訪れることはなかった。ならばまだ過程だろう。
あの時に運命は分岐してしまったのかもしれないが、それは判るはずもない。
なにが原因で、何がどうなるのかもわからない状況だ。身を任せるしかないというのもある。
「で、君はどうする」
「勝負だ! エミヤシロウ!」
ラウラはこの訓練が始まってから彼に勝負を挑み続けている。
結果は全敗ではあるのだが、得る物も多くあるのは確かだろう。
「懲りないな」
「貴様に勝つまでは諦めん!」
そうしてラウラはエミヤシロウに挑み続ける。
「…まさか外出が許可されるとはな」
「全くだ。私は身分不明の不審者だぞ」
外出を許可された。結果からみれば釈放と変わりないかもしれないが、隣にいるのは千冬と。
「何故、私が…」
「文句を言うな。今日はお前が当番だろ」
今日の料理の当番はラウラ。他の者もいたが、千冬とエミヤシロウがいるなら問題ないということで仕事に戻っている。
「…外出などしたくはなかったのだが」
「なんだ、窮屈な生活が気に行ったか?」
「そういうわけではない」
今日が期限の5日目。何も連絡はないが、何かしらのアクションを起こしてくるのは確かだろう。
エミヤシロウは軍が唯で見逃すはずがないと考えている。
他国が自身を捕獲した場合に被る被害を考えれば、殺す方が効率はいい。
みすみす殺されるわけにはいかないが、人の多いところで銃撃戦など考えたくもない。
全てを救える自信がない。
「今日の献立は何なんだ?」
「…君が一番楽しみにしていないか?」
「…うるさい」
図星かと彼は思うが、ラウラが何気に日本のことを気にかけるようになったのを知っている。そもそも千冬からそのことを聞かされたのだから。
彼女はそんなラウラを面白いと評価し、いずれは日本にいる弟に会わせたら面白いのではないかと考え
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