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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第264話】
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与えられなかった。
――でも、捉え方によってはあの霞衣も張ってる間は、かなりのエネルギー消耗があるはず。
セシリアのライフルによる一撃が当たるよりは消費は少ないだろうが、塵も積もれば山となる。
小さな積み重ねが一夏を窮地に追い込む事も可能だと思うのだが――何分、今の一夏には勢いがついている。
勢いついた対戦相手というのは厄介で、人によってはそのまま飲み込まれてしまうからだ。
例えるなら、甲子園で強豪高校のエースがふとしたきっかけで連打を浴び、そのまま崩れていくといった所だろうか?
そんな考えも他所に、少しずつ、少しずつ追い詰められていくセシリア――。
『っぅ……! こ、このままでは……!』
『はあぁぁあああッ!!』
徐々に間合いを詰められ、遂に四枚あるフィンアーマーの内の一枚を使って斬撃を受け始めたセシリア。
その間に、腰部アーマーのミサイル型ビットを再装填――この距離で放つと、爆発に巻き込まれる為にセシリアは使用する機会を窺いつつ、左手に粒子を集束させていく。
防いでるフィンアーマーに、零落白夜の光刃によって装甲表面が徐々に溶解――その様子に、一夏は――。
『このまま押し切るッ! うおぉぉぉおおおッ!!』
『くっ……! まだ、やらせませんわよ、織斑さん!!』
力押しで雪片でセシリアのフィンアーマーを切り裂こうとする一夏に、セシリアは左手に集束されたショートブレード【インターセプター】を呼び出して装甲の無い箇所に直接突き立てる。
ショートブレードが絶対防御を発動させると、大きくシールドエネルギーを減らした一夏の雪片から零落白夜の光刃が消えていく。
『しまった!? ……もう、エネルギーが!?』
『これで……フィナーレですわ!!』
勢いをつけるために、一旦バックステップしてからの追撃。
ショートブレードの突きによる一撃が、一夏に強襲するが――。
『接近戦では、俺の方が分があるぜ。 セシリア!!』
一旦バックステップしたのが敗因だろう。
勢いをつけるために後ろに引いたその瞬間、一夏も体勢を整えて、セシリアがショートブレードによる突き攻撃が見えたため、それを避け――後は……。
『ハァッ!!』
『キャアッ……!?』
大きく、セシリアの背中に向けての袈裟斬り。
小さく悲鳴をあげると絶対防御が発動し、そこでセシリアのシールドエネルギー残量がゼロになり、試合終了のブザーが鳴り響く。
……零落白夜が切れてなければ、セシリアの背中は下手すれば斬り裂かれていたかもしれない。
試合には負けたが、勝負には勝ったという所だろう……。
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