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最期の祈り(Fate/Zero)
夢と現 
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ツは爺臭い」
 それを聞くと、女は一瞬きょとんとしたが、次の瞬間には腹を抱えて爆笑していた。
 「それ、次あの人に言ってみたら?凄く落ち込むから」
 現金なものだがこうも楽しそうに笑ってくれると、このアイリスフィールともう少し一緒に馬鹿な話がしたくなってきた。なんとなくだが、最初にあった静謐な雰囲気は霧散しており、恐らく本来の彼女であろう姿が明け透けに出ていた。
 「それに最初から失礼な奴だった。初対面の人間を危険人物扱いしたり……」
 「そうね。私と初めて会った時も、人形と話すようだったわ。でも――」
 「でも、そこから愛が芽生えた。そうだろ?」
 ええ、とアイリスフィールはラウラの言葉に頷きかえした。そこで彼女は一度天を仰ぐと、そこには居ない人をおもうように優しく微笑んだ。その微笑みは、さっきまで呪詛をまき散らしていた人間とは思えなかった。
 「切嗣は、良くも悪くも優しすぎるの。私のような人形にも愛を注いで、愛を教えて……そして、それが故に世界の優しさを信じなかった」
 「世界の優しさを信じられない、か……私にだって傍に何かがあった。クラリッサや教官……後、嫉妬という対象で織斑一夏」
 「最後のは余計じゃない?」
 少し呆れた様な視線を向けられたが、ラウラは構わず続けた。
 「要は、私は手近にあるものに捕まる事が出来たんだ。だけど……衛宮は――」
 「在りもしないゴールだけが頼りだった……でも、あなたも似たようなものだったわよ。あなたには目的が無かった。手段は幾らかあったようだけれど、それじゃいつかは破綻してしまうわ」
 「そ、そんなものなのか?」
 タジタジといった風に焦る。
 「ええ、だから私から一つアドバイスをあげる。心して聞きなさい!」
 なぜか、えへんと胸を張ってワクワク顔でラウラに迫るアイリスフィールだが、その姿にどこか危機感を覚えてしまった。彼女の本能が告げる。なんかヤバいと。


 「恋をしなさい。そして振られなさい」


 「お前は鬼か!?」
 「ええ、今は人では無いですし」
 色々言い返したい言葉があったが、なんとかその一つをくみ上げて口にする。
 「どこの世界に振られることを前提に恋愛に精を出す奴がいるんだ!」
 「ときメモで体力だけ鍛えていればワンチャンあるわよ!ファイッ」
 「この人でなし!」
 さっきから何を言っているんだこいつらは、というまさしくそんな状況であった。最早、最初にあった威厳はどこ吹く風、アイリスフィールからは露程も感じられなかった。しかし、ラウラの方にも変化は出ていた。仄かに頬に朱がさしていた。
 「じ、じゃあ、仮にだ。いいか、仮にだぞ!仮に、軍事訓練に明け暮れている奴が衛宮に告白したら――」
 「優しく振られるでしょうね」
 「せめて最後まで言わ
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