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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
番外編 「雨が降る (後編)」
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う。
ここは無理に会話を長引かせずに当たり障りのない対応をして帰すのが得策か。彼は押しつけがましい善意は拒否する傾向にあるようだから、月並みなことを言って今日は終わりにしよう。
「・・・どうしても行きたかったらオネーサンなり同室の佐藤さんなりに一声かけていきなさい」
「・・・はい」
「それと・・・悩み事があったら相談してくれてもいいわよ?」
「・・・はい」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・・・・か、感情が読めない・・・!
印象が良いか悪いか普通なのかさえこの仏頂面では判断がつかない。これでよく佐藤さんは日常生活に支障を来さないものである。普通なら趣味の事とかを話したりして彼の興味がありそうな方向へ話を誘導することもできるが・・・どうなのだ?印象が芳しくない状態でそれを行うのはリスクが高い。だが印象が良かったならその流れで口が軽くなるかもしれない。
どっち?どっちなのベルーナ君?・・・いや、拒否していないなら少なくとも悪印象では無い筈。少し様子見しても大丈夫だろう。
「所で・・・歌、好きなの?」
「・・・人並み程度」
「そうなんだ。少年合唱団みたいに綺麗な歌声だったから好きなのかと思っちゃった。本当は黙って最後まで聞きたかったのよ?あの歌」
「・・・声変りが来ないからそう聞こえるだけ」
・・・煽てには乗らないか、むしろコンプレックスだったか。ここに触れたのは失敗だったかもしれない。楯無としては本当に綺麗な歌声だと思ったのだが、口調から察するに少し気にしていたのかもしれない。
引き上げ時か?そう判断しかけた楯無が口を開くより少し早く、ベルーナがすくりと立ちあがった。
本格的に機嫌を損ねたかもしれない。そう思った楯無を待ち構えていたのは―――
「・・・Sul mare luccica, l'astro d'argento♪ Placida e` l'onda prospero il vento♪」
(え?・・・これって確か『サンタ・ルチア』?)
『サンタ・ルチア』は音楽の教科書などにもよく載っている有名なナポリ民謡だ。イタリア出身のベルーナが聞いたことが無いというのもおかしいかもしれない。突然歌い出したことに驚いた楯無だったが、そのは美しい海を思わせる透き通った歌声に耳を奪われた。
「Venite all'agile barchetta mia♪」
外からかすかに聞こえる雨音すら耳に入らなくなるほどに聴覚を通して心に届くその声。それは見えるはずもない青空に照らされたナポリの白い街並みと、穏やかな海を幻視させるほどに美しかった。気が付けば、口が勝手に歌詞を紡ぎ出す。
「 Santa Lucia ♪ Santa Lucia ♪」
「さんたー・るー・ちーあ♪さん
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