第5話
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あった」
駿遠とは、駿河、遠江のことであり、今の静岡県。
竜司「確か幕府から正式に守護大名として統治を許されていたんだったな」
久遠「詳しいな。まぁその通りなのだが、そしてちっぱけな織田家と巨大な今川家。戦は出会ってすぐに回戦というわけではなく、予兆があり、準備があり、そして行動し、開戦となる。今川家が大々的に上洛を喧伝していたその期間、この日の本全ての者たちが、我ら織田家と今川家の戦いに注目していたことだろう。その未曾有の最中、突如現れた謎の男。…そう貴様のことだが、その謎の男を貴様であれば、どのように捉え、どう見る?」
強大な勢力である今川にもし俺が現れれば…また状況も変わる…久遠…織田家が勝ち、その織田家に俺が現れたことに意味を成す。
竜司「……」
久遠「勝利したのが義元なれば、また違った意味もあろうが…田楽狭間の戦、勝ったのは織田だ。ちっぽけな存在と侮られていた織田なのだ。勿論我は小勢でも勝つ。いや、生き残るために知恵を絞り、手を打った。そして勝利を掴んだ。…しかしな…世間の雀は、我のやってきたことなど毛ほども考えん。ちっぽけな織田が勝ったのは、当主である我の力ではなく、ほかに要因がある、とな」
天候、運、武将の質、偶然…そのように考える者がほとんどだろう。
久遠「そして、雀好みの出来事が、田楽狭間では起こっているのだ」
竜司「なるほどな、天から俺が降りてきた。だから織田が勝ち、鬼も撃退できた。とそう思わせることができる。ということか…」
久遠「そういうことだ。やはり聡いな貴様は」
竜司「まぁ自分で言っておいてなんだが、何ともまぁ奇々怪々ことだな…だが、俺が来なくても勝っていたんだろう?それにあの状況からして、義元公が討たれた後だ。あまり俺は関係ない気がするが」
久遠「まぁそうだろうさ。…だがな、世間という庭にいる雀どもはな、そこを大空の下にある大地だと思いたがるものだ。下男が住む長屋の庭だとは気づかずにな。…なぜならそう思わないと、自分が惨めになるからな。だから雀は己の思いつきを是とする」
竜司「なるほどな。まるでどこぞの天の御使いだな…てことははだ…その雀どもはその天の御使いを手に入れれば必ず勝利を掴める、もしくは相応の利益が生まれると考えるってことだな」
久遠「うむ…そして我もそのうつけの一人だ。貴様が現れて、鬼を倒した。戦う力は十分に備えており、そして頭も切れる…他人に取られるよりは我が手中に置き、監視したいのだよ」
竜司「まぁ確かに俺がもし戦に加わろうものなら勝つ算段はいくらでも考えつく。俺の武器はあの刀や二丁の鉄砲だけじゃないからな」
久遠「なに?あれ以外にまだ武器を持っているのか?」
竜司「まぁ其の辺は
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