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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
幕間『漸動』
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番嫌いことはねぇ、頑張って夢を叶えようとする純粋な子たちを食い物にする人たちだって、先生が一番知ってるじゃないですか〜……」
笑顔を絶やさない束だが、それも自分を抑制するための演技である。
「やれやれ、今のお前さんを見たら、千冬なんぞは混乱して世迷言を吹くじゃろうな」
「これもシュウちゃんと“先生”のお陰かなぁ〜……」
くつくつと笑う佳人に、天才は怒りを引っ込めて呟いた。
「しかし、相変わらず耳聡いのぅ。どこまで知っておる?」
「ふっふ〜ん、束さんを舐めちゃいけないよ〜。清さんっていう不届き者に関わることは、洗いざらい調べ尽くしてるんだからねぇ〜。何より同じ“お姉ちゃん”として、妹を弄ばれたと聞くと……もう……ねぇ……、うふふふふ……」
言いながら、束の中でまた怒りが沸々と込み上げてくる。
「まぁ楊麗々の件については、わしも少しばかりお節介を……のぅ」
「ふぇっ、そうなの?」
白夜からの言葉に、束は思わず目を丸くした。
「今ごろは、その知らせも向こうに届いておるじゃろう」
「うふふふっ、そっか。じゃあ、あとは頭でっかちなオジサン達に、釘を刺しに行くだけかな」
「手心は加えてやれよ、あの手の老獪どもは胃袋と玉はデカイが、肝と尻の穴は小さいでな」
「も〜ぅ、そういうお下品は禁止だよ〜」
眉を寄せながらも、束は白夜の発言に思わず吹き出してしまう。
「【苦労の数だけ、人は幸せを得る権利を得る】……昔、シュウちゃんが言ってた金言だよ。他人の苦労を弄ぶような不届き者のせいで、家族や自分を壊される可能性があるのなら、……それが私のIS(つくったもの)でなら、私はその努力をした人の味方になりたい」
束はそう言って、荷物を手に取る。握る手には、何か強い決意がこもっていた。
「でもやっぱり、同じ妹を想うお姉ちゃん仲間としては、そんな事を聞いて見過ごすなんて出来ないしね。だから、束さんはお節介を焼いちゃうのだ♪」
そう言っておどける束に対して、白夜は少しだけ笑みを浮かべながら言う。
「それを実の妹にも実行できておれば、もうちっと説得力もあるんじゃがなぁ…?」
「ぶぅ〜! それは言いっこなしだよ、白夜さん!」
「あっはっはっは、それはすまなんだ」
からからと笑う白夜に、束は眉間を寄せて抗議する。
それでも束は、掘り込まれた溝を埋める術を探し続ける。散々好き勝手した果てに出奔した身勝手な姉として、せめて妹に償えることは無いか、その解答を……。
「さぁて、わしも行くかのぅ」
「シュウちゃんによろしくね〜」
白夜が学園に戻るのを、笑顔で見送ろうとする束だったが――、
「何を言っておる、わしはお前さんのお守じゃよ」
「ふぇ……!?」
これまた、とんでもない発言が飛び出してきた。
「お前さんが、不意打ちを食らう(なまく)らで
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