暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
幕間『漸動』
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けでも、効果は見込めるかもしれない。だけど、世の中にはそれを無視して事を成そうとする不届き者だっている。そして人は事が起こってからじゃないと、本気の対策を立てようとしないものだから、ね」
それは、天才と呼ばれた人間の価値観故なのか……何処か遠くを見るように、己が理を言葉にして綴っていく。
そして白夜自身、彼女の言葉に異を唱える事はしない。人の世を気楽気侭に旅をするこの仁だからこそ、彼女の言っている事が正しい事も理解出来るのだ。
「ゆえに自分から動き、最後まで正体を隠し通した。……そういうことじゃな?」
「まぁ、そんな感じかな。ちょっと、やりすぎちゃった感じはあるけどね」
頬を指で掻きながら事件を思い返し、思わず苦笑いする。実際問題、修夜達の苦戦状況を見れば、あの無人機たちがどれほど強かったは言うに及ばぬところである。
二手三手の先を読むこの天才でも、賽の目の結果までは予想できない。修夜達の実力を予測した上での計画であれ、万が一の可能性は起こりえるのだ。
「しかし、お主の事じゃから、幾つかの布石くらい打っておいたんじゃろ?」
「まぁね。箒ちゃんの打鉄に細工を仕込んだのも、束さんだし」
白夜のこの質問を、束はあっさりと認める。修夜や千冬がこれを聞いたら、あまりの事に叱責しかねないのだが……。
「後は、ちーちゃんが動く事態になった時には、即座にセキュリティを戻せるようにしておいたりね。まぁ、これは本当に最悪の場合だったんだけどね……」
苦笑いしながら話しているものの、それは今回の事で彼女が想定しうる最悪の事態であった。
世界最強である千冬が出撃する事……それは即ち、あの事件が修夜や一夏と言ったメンバーではどうする事も出来ない事態となっていたということである。
もし仮に、その事実が起こりえた場合、同様の事件が起きた時には死傷者まで出ていた可能性を持ってしまう。
「まぁ、白夜さんの介入までは、流石の束さんでも予測できなかったけどね。ほんと、何処で分かっちゃったかなぁ……」
「これでも昔から鼻は利くのでな、特に悪い虫の臭いには敏感でのぅ」
不敵に微笑む佳人に、天才は「敵わないなぁ」とこぼし、また苦笑いするのだった。
「ところでその荷物、どこへ向かう気だったのじゃ?」
白夜は椅子の傍に置かれたキャリーケースを見て、束に問うた。
「あっ、コレですか? これはですねぇ、シュウちゃんの幼馴染ちゃんをはじめに中国の女の子たちをですね〜、……散々弄んでほったらかしにしてたオジサン達を……、懲らしめに行く準備なのですよ〜……」
言葉を発するごとに、温和な雰囲気が徐々に冷えていく。
その怒気の薄ら寒さたるや、南海にあるこの場所が冷蔵庫かと思えるほどである。
「だいぶと鶏冠に来ておるようじゃな」
「うふふ……、嫌だなぁ白夜さん。この束さんの一
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