暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
幕間『漸動』
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、お花畑と三途の川が見えたよぅ……」
「自業自得じゃ、大莫迦者」
説教を終えてふらつく束を見て、白夜は冷ややかに溜息をつく。
白夜が使ったのは、早い話が相手に悪夢を見せて精神を攻撃する“幻術(げんじゅつ)”と呼ばれるものだ。
その中でも<冥土苦輪>は、精神攻撃として一等えげつないもので、本来は拷問向けともいえるほどの威力をもつ。何せ、圧縮された時間の中で、絶望的な状況を幾度となく経験させられ、そこで死にかけてはまた……、を繰り返されるのだ。やられた方はトラウマになる。
手加減しているとはいえ、それに耐えきってみせる束の精神も相当なタフネスだろう。
「それで、どう言う積もりじゃ? あんな大事なんぞ起こしおって……」
「なんとなく♪ ……嘘ですごめんなさい、ちゃんと説明しますから固有結界を展開するのは勘弁してください」
いつもの調子で軽く返答しては見た束だが、白夜が再び殺気立ちはじめるのを見て、すぐさま土下座で平謝りするのだった。
それを見て白夜も悋気を収め、とりあえずカウンターの椅子に座るよう、束に促す。
椅子に腰かけて一息つくと、まず白夜が問いかけた。
「今一度だけ聞くが、このたびの機械人形の一件、あれを差し向けたのはお前じゃな?」
再び鋭い視線を向ける白夜を、束は怯えながらも真っ直ぐに返す。

「そうだよ、今回あの無人機――『ゴーレム』を差し向けたのは、この束さんの仕業です」

束の返答を聞いた白夜は、それ以上彼女を睨むことをやめ、「そうか」と返事をした。
束も白夜の反応を見て、ほっと一息つく。
「察しはついてはおるが、一応聞いておく。何のためにあれを差し向けた?」
その問いに、束は頬を人差し指でつついて少し考えるような仕草の後、「そうだなぁ」と前置きをしつつ答え始めた。

「……まぁ、白夜さんだけじゃなく、たっくんやちーちゃん辺りも予測してるだろうけど、ずばりシュウちゃん達のためだよ」
その顔は、先ほどまでと違って真剣そのものだ。

「あの無人機騒動は、名目上では白式のデータ収集が目的となってるけど、その実は【IS学園やIS委員会への警告】そのものなの。今回の件で、少なくとも学園……ちーちゃん辺りは、何かしらの動きは見せると思うよ」
言いながら、白夜が来る事で一度は閉じたディスプレイを空中に投影し、軽く情報を整理し始める束。
「警告ならば、お主が動くだけでも十分効果はあろう。何故あそこまで大事なんぞに……」
「大げさだからこそ、だよ」
呆れた表情で言う白夜の言葉を遮って、束はそう答える。
「今回の件が大げさだからこそ、シュウちゃんやいっくんに対する認識が大きく変わる。世界有数の男性操縦者に、どれだけの【価値】があるか……って言うね」
真剣な表情を崩さないまま、束は言葉を続ける。
「私が動くだ
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