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虹の軌跡
第五十五話

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はじめ
「じゃあ、俺を勧誘しに来た時にはもう辞めるつもりだったのか?」

虹太郎
「いや、俺とミケを抜いて9人必要だったから、あの時点で辞める気は無かったよ。でも今は俺達抜いても16人だ。問題無いだろう?」

はじめ
「大ありだ馬鹿!」

遂には虹太郎の胸ぐらにつかみかかる

身長20cm差があっても、虹太郎が座っていれば造作もない

はじめ
「一緒に野球やった仲だろ?なんでだよ?」

虹太郎
「それは…」

はじめ
「『あの事件』だろ?」

虹太郎
「…!!」

はじめ
「…図星か。もう忘れろって。あれはお前のせいじゃないって言っただろ?」

虹太郎
「違う。俺が役に立たなかったからだ」

啓一
「いや、あれは監督の責任だろ?お前が気に入らないから、あんな起用を…」

虹太郎
「それでも…負けたことには変わりないよ」

啓一・はじめ
「………」

琴莉
「コウ君、私も辞めるのは反対だよ。野球やってる時のコウ君、楽しそうだもん」

虹太郎
「……」

遂に押し黙る虹太郎

しかし




虹太郎
「何が、わかる…」

琴莉
「えっ?」


虹太郎
「お前らに一体何がわかる?明らかに格上の相手と強制的に戦わされて、挙げ句チームは負けて皆から非難されて…」

初めて怒気を孕ませて声を荒げる虹太郎を見る一同

いつも冷静に物事を見て判断する彼からは予想も出来ない姿だった

琴莉
「だ、だからそれはコウ君のせいじゃないって皆も…」

虹太郎
「じゃあその時にそう言えよ。あの試合の後、誰か1人でも俺のところに来たか?」

琴莉
「それ、は…」

虹太郎
「その程度のことなんだよ。見下すように扱われて退部に追いやられた俺の気持ちがお前等にわかってたまるか!!」
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