第3部:学祭2日目
第13話『危機』
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まで、桂さんをかばうんですか?」
「え……」
「女子生徒達に反感をもたれて、そんなふうにボロボロにされて、なのにどうして、また桂さんをかばおうとしてるんですか……? また返り討ちにあうだけじゃないですか……」
澪は目を伏せて、また少し考え込んでみた。
けれど、答えは1つしかなかった。
口に微笑を浮かべて、言った。
「一目ぼれしたから、かな。」
「え……」
ムギのことを笑えないな、と思いながら、澪は続ける。
「私はレズじゃないけれど、一目惚れしちゃったんだよね、桂に……。
マックで初めて会ってから。
伊藤のことで悩んでいるのを聞いて、何となくほっとけなくて……。
あれこれ世話をして、桂に感謝された時、すごくうれしかった。
嬉しくて、あいつが心から笑顔を見せてくれるときが来るのを、楽しみにするようになった」
「……」
「だから今も、あいつが痛い目に合うのを見ていると、ほっとけないんだ」
また飛び出そうとする澪。
ガッ!!
再び世界が、引き止める。
「もういいじゃないですか!! 桂さんのことなんて!! それにまた七海達に攻撃されたら、せっかくのきれいな顔が台無しじゃないですか!!」
「西園寺……」
「私……貴方にあこがれていたんです。
貴方がもうこれ以上傷つく姿を、見たくないんです……」
懇願するような表情で、世界は言った。
澪は笑って、
「気遣ってくれるのはありがとう。実際、一度は怖気づいちゃって、手を引こうとは思っていたけれど」
「だったら!」
「でもそれじゃ、嫌だってわかったんだ。
たとえそれで、また傷つけられても、きっと後悔しないと思う。
桂が笑ってくれれば、それでいいんだ」
「秋山さん……」
世界の手の力が緩む。
「だそうだぜ、西園寺」律が口をはさんでくる。「止められねえのは自明のことだぜ」
「あ、もしできればでいいんだけど、女子生徒達が、桂や私に手を出すのを止めてくれないかな」微笑を浮かべて世界に頼んだ後、澪は校庭を見る。
しびれを切らした生徒達は、再び体育館を見ているようだ。
「それは……」
再び世界は、うつむいた。
「その瞳……迷いはないようですね……」
刹那は、微笑みを出しながら、そっと語る。
律は、
「だとさ、西園寺。じゃ澪、がんばれよ」
と言って、澪の背中をドンとおした。
澪は校庭に飛び出し、女子生徒達の合間をかき分ける。
グッ
今度は、女子生徒達に腕を掴まれる。
「貴方、甘露寺さんの言ってた秋山さんですよね」
「……知ってるのか……」
女子生徒達は、今度は澪の腰までかかるロングヘアーをつかみ始め、
「貴方も止めるように言われてるんですよ。残念ながらここを通すわけにはいきません」
「やめてくれ! なんで
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