第3部:学祭2日目
第13話『危機』
[9/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
どうやら、意外に父の勾留にてこずっているらしい。
「親父の奴……!」
右側の階段をみると、視界に写ったのは、長髪に革ジャンの男。
上へと階段を上っている。
父が来ている。
もはや、気が気でならなかった。
言葉のことも吹き飛んでしまいそうになる。
彼は、大きく深呼吸をして、気分を落ち着かせた。
やがて、言葉宛にメールを入力し始めた。
メールを送った後、階段を上って、誠は止を探しまわる。
父の毒牙に、唯や言葉がかかったら、どうなるか。
「親父!! どこだ!?」
声をあげながら、彼は屋上へと続く階段、さらに階段の下と、目を移していく。
誰もいない。
いやに静かである。
「親父の奴……。何をするつもりだ……」
と、その時、
ドンッ
何か強い力で、背を押されるような感触を覚えた。
その時、一瞬、振り向いた。
そこには、にやりと笑みを浮かべている、自分の父親が……。
ガタンッ
誠は、階段のグリップの部分でつまづいた。
そのまま8段下の、白いタイルでできた床に落ちてゆく。
ようやく、榊野の正門にたどりついた。
肩で息をしながら、澪と律は安堵の表情を浮かべた。
校庭は、相変わらず様々な模擬店でにぎやかになっている。
が、木でできた体育館入り口付近で、女子生徒達が何やら輪になって話をしているようだ。
レンガでできた校門のところでは、世界と刹那が顔を出しながら、校庭の様子をうかがっている。
澪と律は気になったので、
「いったい何があったんだ?」
と声をかける。
世界は、傷バンがところどころ貼られた澪の顔を見て、何かを考えるような表情になった。
かわって刹那が無表情で、
「桂さん、ここに来たみたいなんだけど、あの女子生徒達に絡まれてしまって……」
律は、女子生徒達の様子を見て、
「やっぱり桂、付け狙われているのか?」
と話しかける。
「そうですね。皆七海の配下だと思うけど」答えたのは、刹那。「桂さん、女子みんなに嫌われていますからね。
からまれかけたんだけど、今は男の人に、ちょっとかくまわれています」
「男?」
「何か、どっかのボディーガードと言った感じなんだけど……」
「ボディーガード……」
おそらく、ムギが呼び出したSPだろう。
まさかこんなところで役に立つとは。澪はちらりとそう思った。
「それにしても甘露寺の奴、どこまで強引な方法を取るつもりなんだ?」
律は悪態をついている。
「桂……!」
校庭へと目指して、足をけり上げる澪。
ガッ!!
その腕を止めたものがいる。
世界だった。
腕をつかんだまま、複雑な表情で澪を見ている。
「西園寺……」
「秋山さん……。どうしてそこ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ