第3部:学祭2日目
第13話『危機』
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付き合っているなんて」
「貴方は一体、だれが好きなの?」
「桂がおかしくなってるそうだよ」
そうか。
また流されるのを抑えて、最初に付き合ってた言葉のところに行くようにとの、神のお告げだったのかもしれない……。
もともと自分は神なんて信じないくちだが、本当にそう思った。
気がつくと、足が速まる。
携帯を取り出し、言葉に連絡をしていた。
「もしもし、言葉、どこだ? 誠だ。今そっちに向かってるから、どこにいるのか電話してくれ」
ふらり、ふらりと言葉は、榊野学園の校門にたどりついていた。
門で待機していた女バスの生徒は、それに気づいて口々に話をしはじめた。
「! あれは、桂……!」
「しかし、こんな時にみんなで襲うのって、ちょっと可哀想じゃないの?」
「そうは言っても、甘露寺さんの命令だからなあ……」
「それにしても、いつもちょっと暗い雰囲気だけど、今回は輪をかけて暗いな……」
「と・に・か・く! 七海さまには逆らえないよ、やろう。
おい、桂! 七海さまの命令でな、ここは通れないんだよな」
1人が大の字になって通せんぼをかける。
「……どいてください」
言葉は低い声で、ぼそりと言う。
「はー? そうはいかねえよ! 七海さまからあんたを止めるよう言われてるんだ!!」
女子生徒に手をつかまれるが、グイと跳ねのけた。
そのまま無言で、生徒達の間を通ってゆく。
「ちょっとこら!」
「シカトしてんじゃねえよ!!」
他の生徒達はカンカンになり、言葉に一斉に襲いかかった。
言葉は……。
無言でカバンの中に隠し持っている、レザーソーのキャップを外す。
七海の配下は、言葉の髪を引っ張ったり、服をつかんだりと、荒っぽい行動をし始めた。
言葉がソーを取り上げようとした瞬間、
がっ。
何者かに、利き腕を掴まれる。
「!?」
スーツ姿でサングラス、体格のいい男がそこにいた。
ムギのSPの1人である。
「何をしているのです?」
SPが声をかけてきたが、言葉は答えない。
彼女に絡んでいた女子生徒が、
「何者か知らないけれど、これはこっちの問題なんです。部外者は口を出さないでもらえませんか?」
SPは、言葉が取り出そうとした鋸を見て、少し考えてから、
「わたしも、ちょっとこの子と関わりがありましてね」とっさに機転を利かせた。「ちょっと話をしたいのです」
と言いつつ、強引に彼女の手を引っ張り、体育館の中へ連れて行った。
つまらなそうに皆は、それを見送った。
その様子を、追いついた世界と刹那は、校門に隠れて神妙な態度で見ていた。
「桂さん……」
体育館の奥にある、トイレへと続く狭い通路に、SPは言葉を連れ込んだ。
幸い、誰もいない。
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