暁 〜小説投稿サイト〜
Cross Ballade
第3部:学祭2日目
第13話『危機』
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そばやらが売られている。

「そういえば、ベラ・ノッテでも同じこと言ってたね、唯ちゃん」
 誠は、笑いながら彼女を冷やかした。
 組んでいる腕から、ポカポカした唯の体温が伝わってくる。
「いーじゃん! とっても楽しそうなんだしさ」
 周りの人々は、ニヤニヤしながら2人を見る。
「ひょっとして、ヘテロカップル1号成立かな?」
「なんかあつあつだよね……」
「いやいや、まだキャンプファイヤーの時までわからないよ」
 こそこそと皆皆、話をする。
 誠はそれを聞いて、多少頬を染めた。
「やっぱり目立っちまうか……」その後、きょろきょろとあたりを見回して、「しかし、これは一体何なんだ……?」
 桜ヶ丘と榊野の生徒達がうろついている中、スーツ姿、スキンヘッドで無表情だが体格のいい男達がいたるところで、校内の様子を見張っている。
 こちらには気づいてないようだ。
「さあ?」
 唯は全然、気にしていない。

 その時、第三者の声がした。
「あれは沢越止を勾留するために差し向けられた、ムギ先輩の会社のSP。ムギ先輩がわざわざ父に頼んだみたいだよ」
 つり目、ツインテールに、桜ヶ丘の学生服。
 梓であった。
「君は……」
「あずにゃん……」
 怒りの表情の梓。
 誠をぐっと睨みつけて、
「清浦から聞いた。桂がおかしくなってるって」
「言葉が……」
 誠は目を伏せた。
 梓は例のごとく詰り出て、
「私は認めないからね。貴方と唯先輩が付き合ってるなんて。自分の意思をはっきりもさせず、先輩をその気にさせてさ」
「ちょ……あずにゃん!」
 唯が梓を止めるが、梓は唯には答えず、
「伊藤、貴方は本当に、だれが好きなの!?」
「それは……」
 答えられない。
 何度も言われた質問だが、はっきり答えられるものではない。
「あずにゃん。もういいんだよ」
 唯が梓をたしなめてきた。
「唯先輩……」
「マコちゃんが誰を好きであろうと、私はマコちゃんが好きだから」
 唯の言葉に、2人とも、目をぱちくりさせた。
「さあマコちゃん、行こうよ。ほら、見てよあのポスター!! 桜ケ丘奇術部、中庭でやってるみたいだけど、大盛況みたいだよ!!」
「あ、ちょっと、唯ちゃん……」
 唯の腕に引っ張られ、誠は連れていかれる。
 梓はそれを、冷めた視線で見送った。
「清浦ぁ……。こりゃ、だめかもしんない」


 唯の勧めるままに、誠は中庭にやってきて、奇術部の芸を見物した。
『ひょっとこ』『傘回し』『真剣の剣舞』
 奇術部の様々なアトラクションを見て、2人はおおっと歓声を上げた。
 皆も盛大な拍手を送る。
「いやあ、すごかったねえ!!」
「ほんと、あんな実力があるなんてねえ」
「そういえば昨日も、軽音楽部以上の拍手
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