第3部:学祭2日目
第13話『危機』
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そんなに桂を嫌うんだ!?」
ピーピーとわめき始めた。
「部外者の貴方が知るべきことじゃありません」
リーダーと思しき女性が答え、澪の襟首をつかむ。
「このっ!!」
もはや説得は通じないと思い、澪は女子生徒達を張り飛ばしたり、張り飛ばされたりしながら、包囲網を何とか潜り抜ける。
それを見ながら、世界は重い気持ちに駆られるようになった。
律は思案顔。刹那は相変わらず飄々と、無表情で校庭の様子を観察している。
「……」
「西園寺さんよぉ」
声をかけてきたのは、律だ。
「田井中さん?」
「私もちょっと、澪の手助けしてくるわ。
なんだかんだで澪のこと、ほっとけねえしよ。」
「……」
「私はやっぱり澪のこと、見過ごせねえや。あいつの気持ちを尊重させたいしな」
にいっと律は笑みを浮かべ、校庭を飛び出した。
メントスとコーラを取り出して、律は、
「おーい、お前ら何やってんだー!! 面白い芸があるんだぞー!!」
と、体育館に入ろうとする七海の配下に声をかけてきた。
それを見ながら、刹那は、
「世界、ああなっちゃったけど、どうするの?」
と、真顔で世界に迫ってきた。
彼女はうつむき加減で、何もしゃべらず、何も行動を起こさない。
何とか女子生徒達の腕を解き、澪は体育館の中へ入った。
「桂! 桂、どこだ!?」
誰もいない体育館の中に、澪の声が響き渡る。
すると、ひょっこりと顔を出したのは、ムギのSP。
「桂って、この人ですか?」
すぐ横には、目に焦点の定まっていない言葉がいる。
「桂……どうした……?」
「……」
ぼんやりして、目に生気のない言葉。
澪の中に、言いようのない恐怖が湧きあがっていく。
「桂……そんな……」
そこで、SPが助言を出して来た。
「貴方がこの方の心配をしてくれているのは、ありがたいことです。
この人は、さびしい人の目をしてますから。友達のいない人のような。
誰より心配してくれる相手がいるのは、いいことです。
私はちょっと用事があるので、行きますね。
きっと貴方なら、この人を助けることができます」
と言いながら、SPは体育館を去ってしまった。
「あ、ちょっと待ってくれ、おじさんもこの人を……」
澪が止めるのも聞かずに。
残された澪は、青い顔のまま言葉の肩をつかみ、じっと彼女の瞳を見る。
……
思わず肩のあたりで、抱きしめてしまっていた。
「桂……! 私が悪かった……。
だから、戻ってきてくれ……しっかりしてくれ……!」
言葉は、澪の存在に気付いてないかのようだ。目の焦点も定まらない。
「誠君……誠君……」
ただひたすらに、繰り返している。
SP達が見張る中で、唯はただかしこまって座っていたが、
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