第七話
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かに今まで歩いてきた中で脇道なんてなかった。一体いつの間に……。
「……見て。この土壁、他のと比べて滑らかよ。人工的に作られたものかもしれないわね」
ルセリアの言葉通り、脇道の壁は滑らかで亀裂の一つもない。
「なんにせよ、先に進むしかないだろう。気を抜くなよ二人とも」
「ええ、わかってる」
気を引き締めて一歩進めようとしたその時。
「ぎぃやあああああぁぁぁぁぁぁぁ――――――ッ!」
やけに甲高い悲鳴が迷宮内を木霊した。
顔を見合わせた私たちは警戒レベルを高めて武器を構え直し、慎重に歩を進めた。
「うぅ……」
「俺の、う、腕が……ッ!」
そこには二人の男たちが通路に蹲っていた。
一人は身の丈はある魔法の杖を支えにぶつぶつと意味のない言葉をつぶやき。
もう一人は半狂乱になりながら欠損した腕をばたつかせ。
「これはいったい……」
彼らの姿には見覚えがあった。ここ最近飛躍的な成長を見せる期待のルーキーたちだ。
魔法の杖を持っている男は魔法国家ルギオン出身で、アルトハイム魔法学院の主席卒業生。魔法使いの腕は二十代という若さにしてランクB+で優れた火の魔法使いとのこと。
左腕の肘から先が欠損している男は昨年にファイン国で行われた武道大会の準優勝者。その大剣は岩をも砕くらしい。
そんな彼らが、まるで小鹿のように震えていた。
「あなたたち、一体なにがあったの?」
問いかけてもまともな反応を返さない。
薄暗い土の道の先を私たちは固唾を呑んで見つめた。
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