第一話
[2/5]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ことを責めているらしい。
しかし、それはどうにも買いかぶりすぎだ。俺はこの「空戦階層」がこの層だと知っていたわけではなく、ただ単に「いつかはこんな階層が来るだろう」と考えてこっそり練習していただけであり、アスナの言うところの「空中でのソードスキル」なる技もその過程で偶然見つけたものだ。それを「ねえねえ、ちょっと面白い技見つけたんだけど!」と気軽に美人剣士に話し出せるほど、俺にコミュニケーション力はない。
……だが、まあ。アスナの申し出も、悪いことではない。
俺としてもこの技術を一人で独占するつもりなどないし、むしろ積極的に広めたい。
それならば。
「ほら、私に伝えれば私からほかの『攻略組』のメンバーに伝えられるしさ。キリト君は皆にそういうの教えたりするの苦手でしょ?」
「……まあ、これでも『悪のビーター』だし、いい顔はされないだろうな……」
「ならその嫌で面倒な役回りは私が引き受けるから、ね?」
最後に両手を合わせて、「お願い!」のポーズをとるアスナ。男というのはどうしても美人の頼みに弱いモノであり、そもそも「教えてもいいかな、いや教えたほうがいいな」くらいの感覚であった俺にその申し出を断る理由はなかった。
「やった、ありがとう! じゃあ、さっそくお願いね!」
だから、この罠にはまってしまったのだ。
無邪気な美少女フェンサーの、無自覚な魅惑の罠。
―――『パンチラ』という、不可避の落とし穴に。
◆
アスナとの二人きりの特訓は、実に一時間にも及んだ。
「二人きりの特訓」などと言えばひどく如何わしい響きを感じさせるが、俺は今までアスナとの特訓にそんなことを思ったことは無い。アスナはほとんど無駄口を叩かずに一心不乱に練習に取り組むし、俺のほうも真剣に教わる彼女をそんな眼差しで見ることはなかった。
だが、その考えは、この日砕け散った。
いや、その、なんというか、無理だった。
「やっっ!!!」
裂帛の気合とともに、ひらりと飛び上がるアスナ。
『攻略組』でもトップクラスのレベルを持つ上に、彼女は数値的にも『敏捷』重視型。レベルで勝る俺よりも切れ味鋭く宙に身を躍らせ、そのまま右手に持った細身の片手剣……レイピアを引き絞る。薄緑の輝きが一気に爆発し、そのまま真直ぐに突き出される。
貫かれる、大型犬ほどもあろうかという巨鳥の顔面。
「……」
だが、俺はそんなものを見てはいない。
今のアスナの服装は、いつもの戦闘服……つまりは、ミニスカートだ。
つまりは、そういうことだ。
「どう、キリト君! クリティカルポイントに一発!」
「ああ、すごいな」
「うん、今の感覚忘れないうち
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ