第一話
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神に誓って言う。俺には、やましい思いなんてひとかけらもなかった。
ただただ、彼女からの純粋な願いに応えたかっただけなのだ。
―――鋼鉄の城、アインクラッド。
完全なる3Dのバーチャルワールドを再現した『ナーヴギア』により生み出された、剣と戦いの仮想世界、『ソードアート・オンライン』。世界最高のVRMMOとなるはずだったそのゲームは、二つの機能の付加によって世界最悪のゲームとなった。
ログアウト不可という、束縛と。
HP全損が現実の死に繋がるという、呪いによって。
これは、そんな異世界で起こった、とある一場面の話である。
その話を一言で表すと、こうなる。
―――たとえデスゲームだって、年中真面目でいられるわけじゃない。
◆
―――ねえ、「空中でのソードスキルの使い方」、教えてよ。
彼女は、唐突にそう申し出てきた。
いつも通りの意志の強そうな瞳と、固く結ばれた唇。ストレートの栗色の髪は腰まですとんと落ちていて癖というものが全くない。顔のほうも、アインクラッドでも五本の指に入ると言われるのがすんなり納得できる、正真正銘の美少女―――アスナだ。
「いや、いきなり何を……」
「キリト君が一番うまいって聞いたわ。だから、教えて」
唐突に呼び出された先で、俺はやっぱり唐突に申し出を受けていた。
空中でのソードスキル。それはこの層を攻略するうえで不可欠になる……なるであろう技であり、『プレイヤースキル』……つまりは、「ゲームシステム的なステータスではなく、それぞれのプレイヤーの努力によって身に着けられる」スキルだ。
このアインクラッドでは戦闘に置いて、敵を倒すためには攻撃の威力を格段に上昇させる技、『ソードスキル』が重要なポジションを占める。そしてその『ソードスキル』は欠点として「発動したらその剣閃はシステムに規定された道筋を辿る」というものがある。結果、独特な形状をしたり移動手段をしたりする……つまりは這い寄ってくるナメクジやトカゲ、あるいは飛んでいる鳥や昆虫に対しては、当てるのが困難なのだ。
今現在俺たちが滞在している階層は、特にその傾向が顕著だ。鳥、羽トカゲ、果てはドラゴンと飛行するモンスターのオンパレード。これを突破するには前述の「空中でのソードスキル」などのプレイヤースキルが大きな助けになるだろう。
「まったく、キリト君はいったいどこでそういった情報を……この階層がこんなに飛行型モンスターがいるって知ってれば、……というか、空中でもソードスキルって……前もって教えてくれればいいのに……」
「いや、情報っていうか、その……」
アスナが拗ねたように口をすぼめる。
どうもこの層に達する前に教えなかった
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