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七色の変化球
4部分:第四章
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だった。
「ストレートが来たら」
 絶対に打つ、打てる自信はあった。それでだった。
 バットを構え続ける。そのうえで。
 ストレートを待つ。八球目は。
 またしても変化球だった。今度はスライダーだ。それも。
 外角に逃げるボールをだ。やはりカットしてみせた。今度もそうしてみせた。
「何投げても無駄ですよ」
 また笑みを向けて無言で言ってみせる。その若林をまじまじと見る。するとだ。あることがわかった。
 足の動きが僅かだが鈍くなっている。つまりだ。
「疲れてきてるな」
 それもだ。かなりだ。
「あと数球投げられるかどうか」
 おそらく次かその次で限界だろう。それならばだ。
「それなら」
 粘ることにした。ストレートを待つことにした。このままだ。
 それで構える。勝負は自分のものだと確信していた。しかしだ。
 今度投げてきたボールは。
「なっ!?」
 青田はそのボールを見て思わず声をあげた。それはだ。

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