第七話
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イゼルローン要塞とはその名の通りイゼルローン回廊にある要塞だ。大規模な宇宙港に整備ドック、生産施設を備え一般の都市と同様の機能も持つため長期間での篭城戦も可能とする。さらには一撃で数千隻を葬り去る要塞主砲を含め多種多様な攻撃手段を持つ。現存する軍事施設の中で最高峰の能力と実績を持っている。フェザーン回廊が帝国軍の手にある今、地理上での価値は大幅に低下したが未だに重要な立地であるのは間違いない。
そのイゼルローン要塞には新銀河帝国コルネリアス・ルッツ上級大将が一万五千隻強の艦隊を持って着任しており、十分な防衛能力を備えていた。単純な数の問題で考えればこの要塞を占拠するのに今の同盟軍の全軍に当たる四万隻を動員したとしても難しいと言ってもいいだろう。
イゼルローン要塞司令のルッツの元にはさまざまなラインハルトからと思われる命令が届けられていた。さまざまなと言うと違和感が感じられるが本当にさまざまだった。命令はいくつもあったが大まかに分ければ「要塞を出撃し同盟軍を挟み撃ちにせよ」と言うものと「そのまま要塞を死守せよ」と言う正反対のものだった。はっきり言ってしまえばその命令は同盟軍の罠だった。本当のラインハルトの命令は「要塞を出撃し同盟軍を挟み撃ちにせよ」だったが同盟軍はヤンの策によって「要塞を出撃し同盟軍を挟み撃ちにせよ」「そのまま要塞を死守せよ」という偽の命令を両方とも流しそれによってルッツ上級大将を混乱させていた。
ルッツはその命令のどちらか一方が偽者であると考えひとまずは待機していたが同盟軍の攻撃により初めの命令から5日で待機を終えることになる。
同盟軍が帝国軍の侵攻を阻止するためには当然のことながらフェザーン回廊から同盟領に進入してくる帝国軍だけではなくイゼルローン回廊から進入してくる帝国軍も防がなければならない。そして同盟軍にはイゼルローン艦隊から来る艦隊だけに向ける戦力が無く、フェザーン回廊から来る帝国軍を迎撃するために編成された艦隊をイゼルローン回廊方面に向けるのには時間的余裕が無かった。
同盟軍がイゼルローン要塞方面に向けた艦隊は僅かに二千隻。指揮するのはパエッタ中将、本来なら同盟における中将は一般的に一個艦隊つまり一万隻強を率いる。今回階級の割りに率いる艦艇が少ないのは同盟軍の総兵力が少ないのもあるがなによりこの作戦の重大さを表していた。
イゼルローン要塞攻略のための作戦内容は早い話が大きな物体をイゼルローン要塞にぶるけるだけだ。要塞占拠を目標とせず破壊するだけならそれでいい。その作戦はかつて第八次イゼルローン攻防戦に用いられた方法でもある。第八次イゼルローン攻防戦においては失敗した作戦ではあるがその有効性は立証されている。
有効性をを認識しているのは帝国軍も同盟軍も同じであり、それゆえに今のイゼルローン要
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