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自由惑星同盟最高評議会議長ホアン・ルイ
第七話
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要塞を完全に無力化する」



 同盟軍が混乱しつつも落ち着いていたのは自らが優勢だったからだ。混乱しつつ劣勢におちいった帝国軍は平静でいられるはずがない。
「トールハンマー発射不可能」「全砲台機能停止」
 イゼルローン要塞の内線は凶報で飽和した。それでもなんとか情報を取りまとめた司令部は要塞の防衛システムが完全に無力化された事実を理解した。
「敵ミサイル着弾まであと20秒」
 要塞司令、要塞駐留艦隊司令のコルネリアス・ルッツ上級大将は艦隊を出撃させようとしたが既に遅かった。発進しようとした船にミサイルがあたりその残骸が後続の船を押しつぶした。復旧する間も置かれずその上に小惑星が乗り完全に封鎖されてしまった。イゼルローン要塞には艦船が行き来できる大小さまざまな出入り口があるがそのすべてがお破壊、封鎖された。


 同盟軍は完全に予定通りに作戦を運んだ。要塞の防衛システムをすべて沈黙させ、港を封鎖し艦隊が出ることを封じた。レーザー水爆は要塞の外壁に穴を開け、閉ざされた港をその中身ごと粉砕した。駐留艦隊は出撃することも出来ず座したままそのすべてが破壊された。唯一発進が可能だった単座戦闘艇ワルキューレは発進した傍から遠距離からの砲撃で狙い撃ちされ、無意味に撃破された。同盟軍はただひたすらに爆弾を投下しつづけ要塞の機能を破壊しつくそうとしていた。もう誰の目にも勝敗は明らかだった。
 再度降伏を勧告してはどうか?と言う意見がいくつかパエッタの元に寄せられた。同盟兵士にはもはや自分達がやっていることが戦争ではなく虐殺をしているようにしか見えなかったのである。それをパエッタは却下した。却下した回数が10を越えた頃一人の青年仕官がなぜ降伏を勧告しないのかと疑問を呈した。それに対しパエッタはその仕官に目線を合わせず逆に問い返した。
「ここにいる味方の艦隊は何隻でどのくらいの人数がいると思う?」
 返答とは別の関係がない様な質問をかけられた士官は疑問を隠そうとせず答えた。
「およそ2000隻で、人員は17万人程度でしょうか?」
「その通りだ。この艦隊にはほとんど定員を満たした艦はない。では残りの敵は何人いる?」
 イゼルローン要塞はその要塞だけで500万人、駐留艦隊の人員が生きていればさらに200万人ほどだろう。仕官は率直に答えた。
「少なくとも600万人はいると思われます」
「その通りだ。では答えは出ているだろう。この艦隊には敵を捕虜として引き入れるスペースなどない」
 その答えに若い仕官は愕然とした。
「では初めからイゼルローン要塞を破壊するつもりだったのですか」
 知らず知らず自らの声が大きくなっていることを士官は気づいていない。
「それ以外に聞こえたのか?今の同盟軍には艦隊運用をする人員も、白兵戦を行う人員も、ましてやイゼル
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