第七話
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塞の持ち主である帝国軍は要塞にある主砲を含む各砲台、ミサイル発射装置を連動させた迎撃システムを作り上げていた。さすがにガイエスブルグ要塞と同規模の質量を持ったものは迎撃できないが少々の大きさの物体なら迎撃を可能としている。万が一ガイエスブルグ要塞と同規模の質量を持ったものが来た場合はその大きさからすぐにレーダーに探知され、駐留艦隊が迎撃の任に当たることになるだろう。
イゼルローン要塞の沈黙が破られたのは宇宙暦800年/新帝国暦2年1月8日のころになる。偽の命令を使い帝国軍を足止めすることに成功した同盟軍は、帝国軍が要塞を出ない間に準備を進め終えた。
二千隻の船と最大で1立方キロメートルの岩塊が集まっている様子はまるで戦闘集団ではなくたんなる外宇宙の開拓団のようでもある。
その戦闘艦と岩塊を率いる同盟軍のイゼルローン要塞方面軍の司令官パエッタ中将の座乗する戦艦ヒスパニオラの艦橋は緊張に包まれていた。
戦艦ヒスパニオラは同盟軍の標準戦艦であり旗艦として設計されていないが、二千隻程度の船を率いることは可能だ。本来パエッタ中将の座乗艦は二万隻前後の艦船を率いることが出来る旗艦用大型戦艦、アキレウス級パトロクロスである。しかし現在の同盟軍にとって高い指揮、通信能力を持つアキレウス級を遊ばせておく余裕があるはずもなくパトロクロスはフェザーン方面に向かっている。
パエッタは落ち着いた様子で言った。
「作戦を開始する」
「作戦開始。所定の艦以外は長距離通信を封鎖。各艦ミサイルを発射、岩塊に取り付けられた推進装置を起動せよ」
岩塊は加速をつけながら7光秒はなれたイゼルローン要塞に向かい動き出した。
「ミサイルが敵の防空県内に入り次第イゼルローン要塞に通信を行え。健康と美容のために、食後に一杯の紅茶と」
「は?」
この時パエッタの命令を思わず、それもかなり無礼な表現で、聞き返したオペレーターを非難することは酷だろう。常識的に考えて「健康と美容のために、食後に一杯の紅茶」なる通信文は敵に送る通信文の内容ではない。
「聞こえなかったのか?健康と美容のために、食後に一杯の紅茶だ」
「は、健康と美容のために、食後に一杯の紅茶と通信します」
岩塊が加速をつけ要塞へと向かう。ある岩塊は一直線に、他の岩塊は弧を描き同盟軍から見て要塞の裏にと様々だった。一見すれば無秩序な軌道だが、どれも共通して宇宙港のゲートや砲台を狙っている。同盟軍の兵士はその岩塊のいくつかは防衛装置によって迎撃されるものだと思ってスクリーンを見ていたが一向に要塞から一向に火線が登ることは無く、ついにすべての岩塊が予定通りの軌道を描き予定通りの成果をもたらした。
唖然とする兵士達にパエッタからの命令が響いた。
「要塞に接近しつつ湾岸施設を中心にをレーザー水爆を投下、
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