第10話 「別れの時」
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大型鎧に全く恐怖していないふたりのやりとりを見ていると、ファラは嬉々とした声で念話してきた。
何がそんなに嬉しいのかよく分からないし、どことなく馬鹿にしているような声色でもあった。ファラに対しては、ごちゃごちゃうるさいという意味も込めて声を出す。
「来るぞ!」
放たれた砲撃を散開して回避すると、大型鎧は身体の至るところから射撃を開始する。雨のような射撃を回避しながら高町は魔力弾を生成。
「はぁッ!」
「ッ……!」
テスタロッサはデバイスを鎌状に変形させて、回転する三日月状の魔力刃を放った。俺もほぼ同時に魔力刃を放つ。
黄金と漆黒の魔力刃がそれぞれ大型の両腕付近に直撃。一瞬動きが止まったところに高町が5発の魔力弾を放つが、それは槍を盾にされて防がれた。だがテスタロッサと俺の攻撃した部分に、高町の攻撃によって発生した衝撃が伝わったことで両肩にあった槍は崩壊した。
しかし、それで大型鎧が戦闘をやめるはずもなく、再び射撃を行おうと準備に入った。
「バルディッシュ!」
「レイジングハート!」
テスタロッサと高町は、デバイスを射撃能力に長けている形態へと変える。
俺も攻撃に加わりたいところであるが、ファラは試作型ということもあって彼女達のデバイスのように複数の形態を持っていない。それに俺は射撃に特化した魔導師でもない。あの大型が防御に徹した場合、それを抜けるほどの高威力の魔法を発動するには時間がかかる。
そんなことを考えている間に、テスタロッサが砲撃を放っていた。強烈な砲撃であるが、防御が固いと言われるだけあって防御を貫けていない。そこに高町の砲撃が加わるが抜けないようだ。
俺が加われば抜けるかもしれない、と思って砲撃の準備を始めるが、高町とテスタロッサはタイミングを取り合うように声を出した。
「せー……!」
「……の!」
それを機にふたつの砲撃の出力が増し、桃色と金色の砲撃が大型鎧を撃ち抜いた。あまりの威力にいくつもの壁を撃ち抜いて行き、先が見えないほどの風穴を開ける。大型鎧の破壊が確認できると、高町はテスタロッサの名前を呼びながら話しかけ、テスタロッサはそれに笑みを返した。
まったくこのふたりは……もしも俺に魔導師としての才能が変にあったなら、このふたりの才能を見て完全に潰されてたかもな。それにテスタロッサは、俺の協力がなくてもここまで辿り着けただろう。あれだけの魔法を使っても余力があるようだし。
などと考えていると、アルフがテスタロッサの元に駆け寄って抱きついた。先ほどは見せなかった涙まで見せていることから、ずっと心配していたことが分かる。ふたりを見ている高町の顔も、いつもよりも優しげな笑みだ。
時間が惜しい状況であるが周囲に敵の反応もないため、今の空気を
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