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久遠の神話
第七十七話 百億の富その十一
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「下手に攻撃をしても」
「効果はありません」
 そうだというのだ。
「そのサイクロプスの目は潰せません」
「そうだね、それじゃあ」
「はい、目は効果がありません」
 よくサイクロプスの弱点と思われるその単眼は、というのだ。
「そのことはお話しておきます」
「成程ね。それではね」
「それではとは」
「他のやり方を見つけようか」
 こう言いながらだ、そしてだった。
「ここは」
「ではどうされますか」
「弱点のない存在はないよ」
 例えどういったものでもだというのだ。
「調理出来ない食材がないのと同じでね」
「食材とですか」
「中国人はどんなものでも調理して食べるからね」
 それこそ机や椅子、飛行機や船等以外はだ。毒があるものも全体に毒があるもの以外は食べるのである。
「何処からどう切るか、どう料理するか」
「ではサイクロプスもですか」
「食べられないだろうけれどね」
 食材ではない、しかしだというのだ。
「倒すことは出来るよ」
「必ずですね」
「そう、倒せない筈がないよ」
 巨大な神の力を持つ巨人でもだというのだ。
「絶対にね」
「ではどうされるおつもりですか?」
「それは今考えているよ。さて」
 今度は上から振り下ろされた棍棒を左に動いてかわした、そして棍棒が持ち上げられるのより速く。
 王は己の剣を前に突き出した、それと共に周りに無数の鉄の矢を出してそれで巨人を攻めたのである。
 巨人に無数の矢が突き刺さった、だがだった。 
 それは巨人の強靭な肉体に全て防がれた、そうして。
 鉄の矢は全て硬い音を立ててアスファルトの上に落ちた、王は何もなかった様に再び攻撃に入る巨人を見て言った。
「成程ね、防御力も凄いね」
「はい、そうです」
 その通りだとだ、また聡美が答えてきた。
「本当に厄介な相手ですので」
「そうだね、本当に」
「しかし倒すことが出来るのですね」
「嘘じゃないよ」
 その言葉は、というのだ。
「私は嘘は言わないよ」
「では」
「見てくれるかな」
 余裕もだ、見せる王だった。
「そうしてくれるかな」
「貴方が勝つ姿を」
「うん、そしてね」
 戦いから降りるその姿もだというのだ。
「そうさせてくれるかな」
「では」
 聡美も受けた、ただ王の言葉だけでなくその心もだ。
 そのうえでだ、こう答えたのだった。
「見させて頂きます」
「そういうことでね」
「貴方は貴方の願いを手に入れて下さい」
「所詮は私だけの願いだけれどね」
 わかっている、だからこそ自嘲している言葉だった。
「適えるよ」
「では」
「さて、と」
 サイクロプスを再び見上げる、そのうえでだった。 
 また来た、今度は右斜め上から来たそれをかわしだ、そしてだった。

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