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万華鏡
第五十三話 音楽喫茶その十二

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 景子はその中でだ、今度は首を傾げさせつつ言った。
「ドラゴンズの曲どうしようかしら」
「あっ、ドラゴンズの曲は年によって違うからね」
「ええ、出て来る選手が違うから」
 だからだとだ、景子は琴乃に答えて言う。
「どうしようかしら」
「じゃあ最新のでいいだろ」
 美優は景子にこう答えてプラネッツのリーダーとしても決めた。
「ドラゴンズは」
「最新のね」
「ああ、それでいいだろ」
 また言う美優だった。
「別に悩まなくてもな」
「言われてみればそうね」
「そうだろ、別にな」
「それもそうね」
 景子も美優のその言葉に頷いて答える。
「それじゃあ」
「それに三十年以上も前の選手なんてあたし達現役じゃ知らないからさ」
「一番高木って」
 彩夏は古い頃のそのドラゴンズの曲を聴いて言った。
「もうね」
「その人も今じゃご高齢だからな」
「そうね、それじゃあね」
「監督としてはどうかだったけどな」
 巨人独走の功労者、中畑清と並ぶそれだとされている。早期に監督の座を追われたことは球界にとっていいことであった。
「幾ら何でもな」
「古過ぎて」
「ああ、わからないからな」
「それじゃあ最新のでいいわね」
「それでいこうな」
 一番高木も一番田尾もなしになった。
「俺流監督でもいいだろ」
「落合さんね」
「ああ、あの人敵ながらよかったしな」
 阪神は落合が監督をしていた頃の中日には常にかなりやられてきた、しかしそれ以上に巨人に苦汁を舐めさせ続けてきたのだ。
「だからな」
「そうね、じゃあドラゴンズは落合さんね」
「その頃でいくのね」
「高木さんの頃はいいところなかったからな」
 特に二年目だ、その時はもうどうにもならなかった。
「チームはばらばらでコーチも辞めてファンも離れてな」
「それで応援歌もね」
「ないからな」
 だからだとだ、琴乃に答える美優だった。
「だから落合さんの頃の一番新しいのでいいだろ」
「ううん、それもいいけれど」
 ここで景子が言う、彼女が今言うことは。
「もっといいのない?」
「いいのって?」
「落合監督の頃に日本一になったから」
 だからだとだ、景子は美優に話す。その話すこととは。
「日本一になった時のね」
「その時の応援歌か」
「ちょっと違ったから、確か」
「ああ、日本一バージョンだよな」
「それにしない?中日は」
 景子は真面目な顔で美優と仲間達に話す。
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