第五十三話 音楽喫茶その九
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「目立つところは目立って」
「確かにそうですね」
「いいデザインですね」
「帽子もユニフォームも」
「配色も」
「阪神の縦縞の次位かしらね」
書記も阪神ファンだ、それでダントツは阪神だというのだ。しかしそれでも当時の近鉄のユニフォームもだというのだ。
「いい感じよ」
「というかどのチームもですよ」
「八十年代のパリーグは」
「どれもユニフォー0ムいいですよ」
「派手でそれでいてデザインいいです」
「かなりいい感じですよ」
「そうでしょ、こういうユニフォームもいいわ」
書記は五人の言葉を聞きながらあらためて言う。
「あんた達もよかったらね」
「着てみれば、ですか」
「いいんですね」
「ええ、そうしてみたら?」
こう五人に勧めるのだった。
「面白そうよ」
「阪神だけのつもりだったんですけれど」
美優はプラネッツのリーダーとして書記に答えた。
「それでも」
「そうよね、どれもいいから」
「捨て難いわ」
「どのチームも目立つしデザインいいし」
「これならね」
「まあ選ぶのはあんた達だから」
それでだとだ、書記は判断は五人に任せた。
「よく考えてね」
「はい、それじゃあ」
「少し考えてみます」
「具体的にどうするかは」
「今から」
「五人で」
こう書記に答える、書記もその言葉を聞いてそうしなさいという温かい笑顔で頷いてみせた。しかしここでだった。
五人にだ、少し厳しい顔になってこう告げた。
「わかってると思うけれど?」
「といいますと?」
「わかってるっていいますと」
「巨人はないから」
人類の普遍の敵であるこのチームのものはないというのだ。
「わかってるわね」
「ああ、巨人はですか」
「そのチームはないんですね」
「巨人だけはですね」
「ないんですか」
「そうよ、試しに巨人帽被ってこの学園歩いてみてね」
若しそうすればどうなるか。
「袋にされるから」
「ですよね、そうなりますよね」
「ここ関西ですから」
「巨人ファンに人権ないですから」
「殆どが阪神ファンですから」
「他のチームの帽子やユニフォームはあるのよ」
他の十一球団のものはというのだ。
「昔のものも含めてね」
「巨人以外は」
「そういうことですね」
「それでもいいでしょ」
関西だ、それならというのだ。
「別に」
「はい、私達皆巨人嫌いですし」
「アンチ巨人ですから」
「今年最下位で何よりです」
「阪神優勝して最高の気分です」
「ならいいわね、十一球団はあるから」
だからだというのだ。
「後は好きなの選んでね」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
五人は書記の言葉に頷いた、そのうえで。
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