第九十五話
[8]前話 [2]次話
第九十五話 変わらない博士
クラウンが六人から七人になった時天本破天荒博士は一体何をしていたかというと。相変わらずだった。
あの改造された車椅子で街を歩く、すると街の人々が博士を横目で見ながらひそひそと話をするのだった。
「またか」
「天本博士か」
「また何をするやら」
「何を企んでいるのかしら」
「警察とも自衛隊とも揉めてるし」
「困った人だよね」
「暴力団とか暴走族を消してくれるのはいいことだけれど」
所謂汚物は消毒するのだ、だがそれも生体実験や大量破壊兵器の実験の為にしていることは言うまでもない。
しかもだ、それに加えてなのだ。
「今度は何をしでかすやら」
「核兵器の開発とか?」
「それ堂々とやってるから」
「ああ、それもうなの」
「もうしてるの」
「核兵器どころか」
こう言えるところが博士だ、核兵器の製造開発すらだ。
「細菌兵器も持ってるし」
「生物兵器だってね」
「化学兵器もあるし」
「もう何でもあり」
「破壊活動防止法も適用されてるし」
テロを行ったカルト教団にすら適用されなかった破壊活動防止法も適用されている、それだけ博士が危険なのだ。
「何とかならないかしら」
「普通に街歩くし」
破壊活動防止法なぞ何とも思っていないからである。
「しかも気を向いたらね」
「すぐにヤクザ屋さんとか捕まえて生体実験するから」
「気の向いたまま殺したりとか」
「そんなのだから」
とにかくだ、博士の評判は最悪どころではない。しかし。
博士は今も普通に街を闊歩している、そして。
八百屋さんに行ってだ、こう言うのだった。
「人参とジャガイモ、玉葱を貰おうか」
「普通に買うな、博士って」
「何か不都合はあるか?金はあるぞ」
「いや、あんた周りの視線とかは」
「何じゃそれは」
そんなことはどうでもいいという返答だった。42
「わしは他人がどう思ってもどうでもよいわ」
「だから普通にもの買えるんだな」
「売ってくれんのか?」
「いや、この商店街は相手が誰でも万引きしない限り売るけれどな」
だからだと返す八百屋さんだった。
「それでも普通に街を歩けるんだな」
「車椅子じゃがな」
「ああ、それでもだよ」
そんなことはどうでもいいという博士だった、そうしてだった。
野菜と鶏肉とルーも買う、それで晩御飯のカレーを作りに研究所に戻るのだった。
第九十五話 完
2014・1・5
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ