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フォークボール
第一章
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してそれは。
 ボールになる、誰もがそう思った。川上はバットを振らない。
 だがボールはだ。誰が見てもだった。ストライクだった。紛れもなくだ。それを見てだ。
 水原も青田もだ。唖然となって言った。
「何っ、ストライクだと!?」
「そんな、スギのフォークは」
 必ずボールになる、あまりもの落差故にだ。
 しかし今はストライクだった、それで唖然となったのだ。
 そしてだ。青田はその唖然となった顔で言うのだった。
「わしの言うたことを受けてか」
「そうだな」
 水原は難しい顔になりその青田に応えた。
「フォークでもストライクを取れるということをな」
「あえて言ってきたか」
「フォークでもストライクを取れるか」
 そしてだ。一つの重いものがだ。巨人に覆被さって来たことも感じ取った。
「そうなったのか」
「これはかなり」
「辛いな」
 フォークを見送っても無駄ということがわかったのだ。それでだった。

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