名探偵ヤン艦長の推理 人形師のお宝を探せ その一
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
同盟の各地で行われてきた事だったりする。
「財宝ねぇ。
君は何処にあるか知っているのかい?」
「はい。
それをお教えする事はできませんが」
繰り返されてきた冗談のはすだったが、この時のヤンは頭がフル回転していた。
だからこそ、史学の優秀な成績を収めた知識もフル稼働してその疑問に気づいたのである。
「本当に神なんだろうかね?」
「は?」
パトリチェフ副長の疑問の声にヤンは気にする事なく、ベレー越しに頭をかき続ける。
既に彼の目には何も入っていない。
「たしか計画の初期プロジェクト名は--Project DEVA--だったかな。
インド神話のデーヴァという言葉で、『神』という意味だったかな。
機械によって神を生み出そうとしたとかなんとか。
あの人が道化師として叩かれた逸話の一つのはずだ」
今は宇宙暦795年。
地球文化も知る者は少なく、地球も繁栄とその驕りによって荒廃している現状、ヤンという趣味人が、同じ趣味人たる人形師がかき集めた資料に触れない訳が無い。
なお、道化師は地球文化の復興として文化史にも名を残している。
前時代の懐古主義者という批判と共に。
「あの人が彼女達を神として取らえていなかったら、またちがった側面が見えてくるのかもしれないね。
たとえば、DIVA。ディーヴァという言葉もあってね。
こっちは『歌姫』という意味だったかな?」
今際の際の人形師の言葉『かわいいは正義』からここまで辿り着くのだから、ヤンもまた十分に時代が選んだ英雄なのだろう。
緑髪の副官は驚愕を必死に隠しながら、自分の世界にて考えをめぐらせるヤンを見つめるしかできない。
「『歌姫計画』--Project DIVA--なんてね。
君たちにはこっちの方が似合っているよ」
このヤンの言葉をセントルシアの実体化モデルも聞いていた。
戦艦の通信機能を使い、その言葉はネットワーク内に送られ、その結果が送り返される。
「パスワード照合。
確認しました。
--Project DIVA--マスターコンピューターへのデータアクセスが可能になります」
ヤンを含めた人間全員の驚愕の視線に晒されても、実体化モデルは表情一つ変えずに、宝箱を開ける。
それは文字通りの財宝であり、兵器だった。
「シヴァ星系惑星アルジェナ。
そこにマスターコンピューターは眠っています。
マスターコンピューターに残されているのは、ニルヴァーナプログラム。
全アンドロイド及びドロイドの初期化プログラムウイルスです」
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ