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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
名探偵ヤン艦長の推理 人形師のお宝を探せ その一
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トルシア乗員はおよそ350名。
 同じく乗り込むアンドロイドは40体。
 実体化AIの指揮下にあるドロイドは400体あるが、戦闘時に実体化AIから委任されてアンドロイドが指揮をとる事も可能になっているのは、アンドロイドの同期ネットワークと戦艦の大規模量子コンピューターのおかげである。

「艦長。
 第四分艦隊司令部から緊急伝です」

 緑髪の副官から緊急伝のデータを渡されたヤンはそれをモニターで確認する。

「何です?艦長?」

 気楽な声をかけた、戦術長のアッテンボロー少佐。
 長い付き合いだけに、ヤンのいやな顔を見逃さなかったらしい。

「ミューゼル提督とその艦隊がまだイゼルローンに留まっているらしい。
 さっさと帰ってくれればいいものを。
 分艦隊規模での戦闘の可能性を警告してくれたよ」

 第三次ティアマト会戦にて同盟に名前を覚えられたミューゼル提督とその艦隊がまだ近くにいると言われて艦橋のスタッフに緊張が走る。
 ヤン達がうろついているシヴァ星系はイゼルローン回廊に近く、古くから海賊銀座として名前が通っている場所なだけに、遭遇戦も否定できないからだ。

「けど、こんな場所に海賊が集まったのは、君たちのお父上のおかげなんだけどね」

「それは言わないでください。
 政策としてみれば、一応成功だったのですから」

 緑髪の生みの親である人形師が何をやらかしたかと言えば、このシヴァ星系に財宝を隠したという財宝伝説を作り出したのである。
 財宝の名前は、緑髪の彼女達のマスターコンピューター。
 元々が人形師の個人プロジェクトから始まっていた為に、軍や政府が第三セクターの形でしか絡んでおらず、国家に取り込む際に旧式バージョンと呼ばれるマスターコンピューターは人形師個人のものになっていた。
 全てのシステムの元になっているマスターを解析すれば、全アンドロイド及びドロイドを支配できるかもしれない。
 人形達の管理コンピューターシステムは同盟最高機密の一つで、ブラックボックス化したそれを帝国・フェザーンだけでなく独立商人や海賊すら狙っているという代物。
 基本データはハイネセンポリスの地下深くのメインコンピューターに保管されて日々改善やプロテクト強化がされているが、バックアップのコンピューターが幾つあり何処にあるかを全部把握している人間は誰も居ないとまで言われている。
 人形師はそのシステムについて同盟議会や評議会にてその断片を漏らしたが、決して全体像を語る事は無く、明確にその存在が公表されていたのが彼個人の所有物であるマスターコンピューターただ一つだったのである。
 その為、彼の失脚の際に人形師の元にそのマスターシステムを購入したい連中が大挙して押し寄せた時、彼が放った一言は野心ある男達を宇宙へ駆
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