XIII
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真田の姿があった。
「えーっと……あー……」
「今後はこんな入り方は無理だな」
若干キョドってる伊織とマイペースな真田、悪いが二人の相手をしている暇はない。
ここに……ここに居るはずなんだ。
「風花!」
俺の呼びかけに応えるように伊織らの後ろにある通路から青白い顔の少女がやって来る。
幾分体調が悪そうだが……
「キ――――きゃ!」
気付けば俺は風花を抱きしめていた。
キャラじゃないし柄じゃないのは分かっているが……
こうして無事な姿を確認した途端、何かが込み上がって来たのだ。
「……すまん。待たせた」
「……ううん。ちゃんと来てくれた、嬉しいよ。声、聞こえてたんだね。ずっとずっとキーくんを呼んでたの」
声……確かに聞こえたが、あれはここに入ってからのものだ。
それよりも前から風花は俺に呼びかけてくれていたのか?
「そうか……悪い、全部俺の手抜かりだ」
抱きしめた身体から伝わる温かな鼓動。
風花は今、生きている。
生きて俺の目の前に居る、それが素直に嬉しい。
「……キーくん、痛いよ」
「嫌か?」
もう少し、もう少しだけこのままで居たいんだ。
「ずるいなぁ……」
おずおずと俺の背に手を回す風花、感じる吐息が熱い。
「ん、んん! 盛り上がってるところすまんが……裏瀬、彼女が山岸風花なんだな?」
ああ、そう言えば真田らも居たんだったか。
わざとらしい咳払いで一気に俺のテンションがクールダウンする。
「そうだ。けど、今はとりあえず外に出るぞ。一刻も早くな」
「……分かった。お前の気持ちは痛いほどに分かるしな」
「つーわけだ。行くぞ風花」
「あの、ここどこなの? 私、学校に居た筈なのに……」
俺の服の裾が引っ張られる。
どうしてこう、コイツは小動物みたいな仕草が似合うのだろうか。
「説明すりゃ長くなる。ここはシャドウ――化け物が出るだろ? あれと会う前に帰るぞ」
どうやって今の今まで無事だったか分からないが、シャドウのことは知っているだろう。
何せ十日……いや、影時間の間だけだから――
「じゃあ、やっぱりここに何か居るの? 今のところ、何とか見つかってないけど……」
「は? 待て、一回も見つからずに?」
「う、うん……居場所が何となく分かるから……それを避けて……」
真田の顔が驚きに変わるが、俺はそれを目で制す。
詳しい話は後、ここで長話をする気はない。
「分かってる……美鶴、聞こえるか? チッ、通じんな」
「とりあえずターミナルを探すぞ。風花、体力は?」
「ちょっとだけ疲れて――――わわ!」
風花の身体を抱え上げて歩き出す。
過保護だと
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