妹の葛藤 〜梢side〜
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くないというのもあったが、にぃにこんな世界に足を踏み入れて欲しくなかったというのと、心配させたくなかったというのが本音だ。
つまるところ私はにぃのことが大好きなのだ。
(でも――私の好きなにぃを……)
夏目先輩がしたことは私に対する宣戦布告だ。本人にその気はないのかもしれないが、にぃに魔術の存在を知らせた人物となるのだから許せない行為だ。
(そもそも――)
夏目先輩はさっき風紀委員の仕事を分からないと言っていた。それなのになんで夜の学校にいたのだろうか。
風紀委員会の仕事とは、夜の学校に現れる悪魔の撃退だ。つまり日中の学校の風紀を守るのではなく、夜中の学校の風紀を守るのが風紀委員会の仕事だ。そしてそれを夏目先輩は知っていたということになる。そもそも、こんな転入生が来るシーズンではないときにやってきたのだ。多分日本魔術協会の一員として派遣されてきたに違いない。派遣された理由は分からないけれど。
だから風紀委員としての仕事が分からないような素人ではまずもってないはずだし、それどころか相当のベテランなはずなのだ。
とにかく夏目先輩本人に聞いてみなければ分かるものも分からない。
そういうわけで私は玄関でにぃと別れ、夏目先輩の家に向かっている。
着いた!
夏目先輩の家は厳かというのがしっくりくる大きな洋風の屋敷だった。
チャイムを鳴らそうとすると、後ろから声を掛けられた。
「あら、梢ちゃんじゃない。――そろそろ来ると思ってたわ」
振り向くとそこには夏目先輩がいた。
全身の毛がぞくっと逆立った。
――――まずい、まずいまずい、今すぐ逃げろと全身の細胞が叫んでいる。
けれど逃げるどころか恐怖で足がすくんで動けなかった。
夏目先輩は獲物を品定めするハイエナのような目つきで私を眺め、そして
「立ち話もなんだから家の中に入れば?」
その声には有無を言わせぬ雰囲気が漂っていた。
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