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Fate/InterlaceStory −剣製の魔術師−
第三話 〜定義の履き違え〜
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望みたいのだが」
「…そうだな。俺としてもそれが最善だと思う」

 着いてくるように視線で伝えた男――高町恭也(たかまちきょうや)は側にいた女性――月村忍(つきむらしのぶ)を連れて足を進める。
 士郎はまさか彼らから話し合いの場を設けてくれるとは思いもしなかったのか、一瞬の間呆けていたが、そのまま後に続いていった。
 


 -Interlude-



 案内されたのは月村邸である月村忍の屋敷だった。互いの名を交わしたとき、高町恭也の名を聞き、同姓である高町士郎の事が頭に浮かんだが、立ち振舞いといい重心の運びが似通っているために親族もしくは関係者であることは間違いない。
 だがここでその事を語るのは得策ではないため士郎は黙っていた。

「――さて、そろそろ本題に入るぞ……と言いたいところだが。その前にその不快な暗示を納めてくれ。それは話し合いをする態度ではない。そうは思わないか?月村忍よ」

 ――すっ…と士郎が瞳を細めた瞬間、その部屋の空気が凍りついた。
 確かに忍は彼の動向次第で力を行使しようとしていた。
 ――だがそれは士郎も然り、二人の応対次第によっては実力行使もじさない事を明確に示していた。

「――どうして……分かったの?」
「生憎とな。これまで君以外にもこういった手段を使ってくる者達に相対した事など数えきれないくらいにある。お陰かどうかは知らんが外部からの侵入に対しては敏感になっていてな、…それに言っておくがこの外套を出し抜いてまで暗示をかける事など不可能だ」

 そう言って羽織っている紅い外套を示す士郎。忍はそれを見て、ため息をついて瞳を閉じた。
 ――なるほど。確かにあの外套は作りが違う。何か特別な加護に守られていて、暗示が身体に侵入する前にその外套がそこで遮断するからだ。

「すみません。確かに話し合いをする態度ではありませんでした。非礼を詫びます」
「いや。君の行動もある意味当然だからな。気にしなくていい。――それはともかく君達から聞きたいことはないか?俺の事は複雑な事情でな、先に答えられる範囲で答えてからにしようと思う」
「――なら聞くけど、どうしてあんな森の中に住んでいたの?」

 ―――そう。
 なぜ高校に入る前辺りの少年が、街でもない人気の無い森の中で暮らしていたのか。

「………俺にはもう家族がいないのでな。当てがない以上こうしてあそこで身を潜めて生きていくしかなかったんだ」

 嘘は言ってない。
 それは士郎の瞳を見るとすぐに分かった。……分かったのだが、忍は眉を潜めていた。
 ――それとは別に何か別の理由があるような気がして。

「……そう。じゃあ今まで貴方は何をして生きていたの?先の戦闘時の動きからして一般人な筈がないわ」
「何をして
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