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リリカルってなんですか?
A's編
第三十一話 裏 後(なのは、レイジングハート、リィンフォース、武装隊、すずか)
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である。それで竜を相手にしろというのはいささか無理がある。

「それよりも、闇の書が暴走する瞬間を見逃すな。その瞬間に僕たちが介入しなければ、封印プロセスは成功しないんだ」

 暴走する一瞬のすきを突くのが、この作戦のキモだ。そのタイミングは嫌というほどに教えられている。この場で失敗するとは思っていない。もっとも、実際に封印するのは今回の作戦の指揮を執っている時空管理局の英雄ギル・グレアム提督だが。

「それまで、彼女を一人で戦わせるというのですかっ!?」

 正確には一人ではない。彼女の使い魔であろう騎士たちも一緒だ。しかし、彼らは彼女の助けになっているとは言い難い。自分の身を守るだけで精一杯のようだ。せめて、一人でも彼女の援護に入れば話は違うのだろうが。

「堪えてくれ……これが最初で最後のチャンスかもしれないんだ。失敗は許されない」

 そう言われれば、彼は何も言えない。

 この場にいる武装局員は、確かに一人も欠けることは許されない。闇の書が暴走するその一瞬、闇の書を封印するためにある種の結界を作らなければならない。それが集団儀式魔法だ。武装局員一人一人を陣と見立てて空間を作る。それが闇の書を封印するための界となる。

 この場の一時の感情で出撃するのはいい。だが、それで傷を負ってしまえば? それは、作戦の可能性を落とすことにつながる。そして、この作戦に失敗は許されない。

 ゆえに、この場で正しいのはクロノだった。そして、それがわかっているがゆえに小隊長の彼は何も言えない。感情的には、許せない何かがあったとしても、この作戦の重要性を知っている彼は何も言えないのだった。

 それは周囲にいる武装局員のだれもが同じだ。この作戦の重要性を理解していない局員などいない。だからこそ、何も言えない。

 自信をもって竜と渡り合えると言えない、そういえるだけの実力がない、そんな自分が不甲斐ない。だから、局員の何人かは、俯き、何人かは己の罪を焼き付けるかのようにモニターから目を離さない。

「が、頑張れっ!」

 一瞬、静まり返った待機ルームに誰かの声が上がる。目の前のモニターの向こう側で戦っている少女へ向けてのものだろう。届かないことはわかっている。しかし、あの戦場へと駆けつけられないとわかった以上、やれることなどこのぐらいしかない。

 それが彼女の元に駆けつけられないことへの罪に対する贖罪にならないことはわかっている。自己満足だということはわかっている。しかし、しかし、それでも応援せずにはいられない。何かせずにはいられなかった。

 その心は伝搬する。

「頑張れっ!」「やっちまえ!」「後ろ、後ろ!!」

 先ほどまでは彼女が竜を落とそうが冷静に見ているだけだった。だが、今は彼女が砲撃を打つ
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