A's編
第三十一話 裏 後(なのは、レイジングハート、リィンフォース、武装隊、すずか)
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即座にシャマルによって癒される。彼女自身は距離を置いているにも関わらず、その魔法が届くのだ。魔法の有効範囲が伸びていた。しかも、ザフィーラの近くにいるため、彼女をつぶすこともできない。
このままではまずい、と防衛システムが判断するまでには一時も必要なかった。何も手を打たなければ、いつかなのはの砲撃を喰らってしまうだろう。一度や二度ならば、耐えられる自信もあるだろうが、それ以上となれば厳しいものがある。超高魔力の砲撃を喰らってしまえば、闇の書は耐えられない。その結果、支払わなければならない代償は決まっている。
―――守れない。護れない。零れていく。
それは許されないことだった。闇の書にとって、闇の書の防衛プログラムとして。護る、守護する、それこそが防衛プログラムの存在意義。
だからこそ、だからこそ、主を苦しめる、主を絶望へと陥れた世界を壊そうとするのだ。護るために、ただ護るために。
主を護れない。それは自らの存在意義の否定だ。そんなことはできるはずもない。己は己であることを自覚して初めて己たり得るのだから。特にプログラム―――システムである闇の書はその本能ともいうべき部分が顕著だった。
だから、闇の書は手札をもう一枚切ることにした。いや、切らなければならない。護り、守り、衛るために。
「闇よきたれ」
その言葉で発生する暴力的な魔力の解放。それは闇の書を中心として球を描く。高密度の魔力の中だ。いくらシグナムやヴィータであろうとも、それをまともに受けようとは思わない。結果として、闇の書からずいぶんと距離を取ってしまうことになってしまった。
―――それこそが闇の書の狙い。
この場に必要だったのは仕切り直しだ。闇の書の手札を切るためにも。
「来たれ、来たれ、来たれ。我が兵たちよ」
その呼びかけが呼び水だった。その声に惹かれたように周囲に大きめの闇の球ができる。その数、およそ五十。まるで卵のような闇の球が上から闇のヴェールを外すようにはがれていく。その闇の球が完全に晴れた時、その場に姿を現したのは、なのはたちにとってはよく知っている生物だった。
―――竜。
なのはたちが闇の書の頁にするためにひたすらに狩ってきた竜。その姿が海鳴の海上を埋めるがのごとく、空の王者のごとく埋め尽くしていた。
「「「「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」」」
まるで呼ばれたことを歓喜するがのごとく五十もの竜たちが吼える。内包する魔力もほとんど竜と変わらない。本当になのはたちが狩ってきた見捨てられた世界から呼び出したごとく竜たちは顕現していた。
その姿を見て、一切ひるまなかった守護騎士たちとなのはを見て、闇の書はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。
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