A's編
第三十一話 裏 後(なのは、レイジングハート、リィンフォース、武装隊、すずか)
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すずかにとっての蔵元翔太になった。
ある種の危機にあるのにすずかはふわふわと浮ついたような気分になってしまっていた。おかげで、翔太に声をかけるときも声が震えてしまう。あまりにできすぎたこの時間が、事実が嘘であると告げられることを恐れて。
しかし、そんなことはなかった。
翔太は魔法を使い、一緒にいたアリシア、アリサを護ってくれたのだから。
―――ああ、本当にショウ君は魔法使いなんだ。
先ほど空まで飛んで現れたというのにそれでも信じられなかったすずかだったが、ようやく願望と事実が変わらないことを自覚し始めていた。
だからかもしれない。彼の真後ろに女性が現れ、何かを呟いたと同時に翔太が光に包まれた瞬間に何も反応できなかったのは。
反応できたのは一番近くにいた翔太の義妹であるアリシアだった。
翔太が伸ばした手に唯一、手が届き、光に包まれていた彼と同様に光に包まれはじめ―――消えた。二人同時に、だ。驚いたかのような翔太の表情と必死ともいうべき表情で追いすがるアリシアの表情が脳裏に残っている。
アリサの性格からいってそれを呆然と見送られるわけがない。
「ショウ! アリシアっ!!」
二人の名前を呼ぶが、返事はない。すずかも周囲を見渡してみるが、炎の球によって破壊された後は確認できたが二人の姿は確認できなかった。そして、唯一の行方を知っていそうな存在は一人だけだ。
翔太の後ろに現れ、何かをつぶやいた女性。
「あんたっ! 二人をどこにやったのよっ!!」
まるで恐れというものを知らないようにその女性に食ってかかるアリサ。すずかも同様のことを叫びたい。ようやく、ようやく本当のことが知れたのに。これ以上、我慢する必要もない人に出会えたのに。わかった瞬間に消えてしまうなんてどこの悲劇だ。
そんなことを月村すずかは認めない。だから、食って掛かるアリサとは異なり、どこか油断しているようであれば夜の一族の力を使ってでも襲いかかろうとしたのだが―――
「「え?」」
アリサとすずかの声が重なる。
当然だ。先ほどと一瞬で景色が変わったのだから。先ほどまでいたビルが崩れ去ったような風景はどこにもない。そこはすずかが暮らす日常の風景が広がっていた。人っ子一人いない空間ではない。クリスマス・イヴを楽しむような街の人がいるような日常が目の前に広がっていた。
幸いにして通行人の邪魔にならないような道路の端に寄っていたものの、突然の光景に言葉を失っているアリサとすずか。
だが、やがてアリサも思考回路が戻ってきたのだろう。この数十分で体験したありえない経験と理不尽に怒りを爆発させた。
「いったいぜんたいなんなのよぉぉぉぉぉぉっ!!」
金髪の少女
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