A's編
第三十一話 裏 後(なのは、レイジングハート、リィンフォース、武装隊、すずか)
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たびに、竜を落とすたびに歓声が上がる。
頑張れ、頑張れ、と応援の声が上がる。自分たちにできることは、これしかなかったから。それしかできないことを心の中で詫びながら、しくしくと痛む罪悪感を感じながら、局員たちは彼女に届けとばかりに応援の声を上げるのだった。
◇ ◇ ◇
月村すずかは驚いていた。
先ほどまで機嫌がよさそうに鼻歌を歌っているアリサに対して抱いていた疑惑の念が吹っ飛ぶぐらいに驚いていた。
「ショ、ショウ君?」
そのすずかのつぶやきが彼に届いたかわからない。いや、届いていないだろう。彼は間違いなく、今の非日常に対応しようとしているのだから。
すずかが驚いたのは、この突然、投げ出された非日常に、ではない。そんなことは目の前の光景からしてみればどうでいいことに部類されてしまう。確かに、この非日常に突然投げ出されたことには驚いた。しかし、それ以上に驚いたのは、真っ黒な衣装に身を包まれて空からやってきた翔太に対してだった。
すずかはいつかの翔太の言葉を思い出していた。
―――実は、僕は魔法使いなんだ。
―――もっとも、まだまだ卵だけどね。
それは、すずかに対して気を使った翔太の冗談だと思っていた。すずかは信じていなかったのだ。吸血鬼という存在は信じられても魔法使いは信じられなかった。確かに吸血鬼がある以上、魔法使いがいてもおかしい話ではない。
しかし、それは偶然というのは、できすぎだった。一体、いかほどの確率だというのだろうか。とてつもなく低いということだけは理解できる。
そう、まるでそれはお互いに惹かれたようではないか。非日常が、非日常を求めるように。まるで運命の糸に引っ張られているように。少なくともすずかはそう感じた。
すずかが親類以外では初めて出会う非日常。それが魔法使いの蔵元翔太という存在だった。
今までは、翔太と仲良くなりたいと思いながら接してきた。もちろん、そこに嘘はなかった。だが、それでも怯えがなかったと言えばうそになる。すずかは翔太を完全に一般人だと思っていたからだ。だから、心のどこかで最後のストッパーが存在していた。前のときは大丈夫と言ってくれたが、次はダメなのではないだろうか、と。
受け入れてくれた。その一点だけではすずかが翔太に絶対の信頼を寄せるには不十分だった、と言える。もしも、姉の忍のような性格ならば、信じられただろうが、すずかの慎重な、慎み深いともいうべき性格が災いしていた。
しかし、これで完全にストッパーが外れたといっても過言ではないだろう。まるで、すずかという存在を受け入れるように現れた蔵元翔太という存在。同じ非日常に存在し、すずかという少女を完全に受け入れてくる少年。それが
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