恋スル☆舌下錠 その二
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スがやる出し物を決めていた。
俺から見て教室の正面モニタに表示されているそれは一夏とっては遺憾の意を表明したいだろう事柄だった。
『織斑一夏のホストクラブ』
『織斑一夏とツイスター』
『織斑一夏とポッキーゲーム』
『織斑一夏と王様ゲーム』
これを聞いた一夏が、
「誰が嬉しいんだ、こんなもん」
と抗議していたが、一夏は学園の共有財産ってことになっているらしく、クラスの女子たちは一夏が一年一組に所属していることで色々言われるのかもしれない。
もしかすれば、これが俺たちのクラス以外の女子たちが一年一組に出した妥協案なのかもしれない。
まあ、俺の場合はちょっと事情が異なる。
何をするにも枕詞のように山田先生がくっついてくるからな。
俺の場合というのはこんな感じだ。
『山田専用ホストクラブ』
『山田先生とツイスター』
『山田先生とポッキーゲーム』
『山田先生と王様ゲーム』
「時間がかかりそうだから、私は職員室に戻る。あとで結果を報告しにこい」
という言葉を残して織斑先生はとっくに教室を去っていた。
まさかと思うが、面倒くさい事になりそうだから逃げたんじゃないだろうな。
一夏は自分の横、窓側に立つ山田先生を見ると聞いた。
「山田先生。こんなおかしな企画はダメですよね?」
一夏は山田先生は反対をしてくれるだろうと思ったようだが、その希望は見事に打ち砕かれる事になる。
一瞬上を向き、考える素振りを見せた山田先生は、かけている眼鏡を右手で直しながら答えた。
「わ、わたしはポッキーゲームがいいと思いますよ」
そう言った後、俺を見る。
ダメだなこれは。
一夏もそう思ったんだろう。
はぁと、ため息をつくと、うな垂れていた。
山田先生が見つめる先に俺がいると感じ取った女子が、
「ねえ、あの二人見つめ合っちゃって、何が合ったんだろうね」
何てことを言っている。
あの二人って俺と山田先生のことか? 何もなかったと思うぞ。
「いつだったか山田先生が、ベインズくんにあんな姿を見られて、もうお嫁に行けないなんて言ってたけど……これは関係あると思う?」
あんな姿ってどんな姿だ? 今の今まで、山田先生が嫁に行けなくなるような事象は確認できなかったはずだ。
いったい何のことを言ってるんだ?
「それが関係あるか解らないけど、ベインズくんって凰さんと浮気してたの見られてるでしょ? それなのに、もう元の鞘なんだ」
「私が思うに、山田先生が女神のごとき広い心で、浮気は芸の肥やしだとか、男の甲斐性だとか言って許してあげたんじゃない?」
そう言った女子は俺の顔を窺っている。
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