第一物語・後半-日来独立編-
第六十五章 強くあるために《1》
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振るえないだろ。振るいたいなら私に力を貸し、借りた力を直接お前に流し込んでやろう」
どういうことか説明しよう。
神は基本現実世界では本来の力を充分に発揮出来無い。それは神の力があまりにも強過ぎて、現実空間を破壊してしまうため、そのように神自身がしたからだ。
神自身で使う力は削られてしまう。だが神に宿り主がいたならば違う。
宿り主経由で力を得る分には、何も削られずに力を扱える。
これは宿り主が人であり、現実空間を破壊するに至るまでの力を扱えないところにある。
人からしてみればあまりにも強過ぎる神の力を得るには限界があり、それは神化系術にも言えたことだ。
ゆえに宿り主が得た神の力を、力を貸してくれた神へと直接返し、神は返ってきた力のみを使うことでなんら変わらぬ自身の力を扱うことが出来るのだ。
それを奏鳴はやろうとしている。
しかし、問題が一つある。
何かと言うと、大した量でない力を竜神に与えたとしてもたかが知れているという点だ。
相手は天魔の力を得た、麒麟の化身と化した流魔攻撃。
天魔は堕ちし神の集合体。
半端な力で勝てるような相手ではない。
「こんなところで負けては竜神の名も地に落ちるな。神代の時代で負った傷が痛むか?」
『軽い挑発だ。ようは己の力無しでは何も出来無いということ』
口を開く竜神。
低い声が脳に流れ込んできて、不思議な感覚を覚える奏鳴。
押されているのにも関わらず竜神は助けを請うこともなく、神の意地なのか上からものを言う。
口では言うものの、正直辛いのが本音に違いない。加えて天魔の力が気に食わないだろう。
堕ちた神は穢れている。触れているだけでも嫌で、今にも喉元を喰い千切りたいと思うのも無理はない。するためには力の無い今では無理な話しだが。
竜神は思う。
ならば力を借りるだけだ。
本来ならば力は自分自身のものなのだから、借りると言うのは少しおかしい気もする。
とにもかくにも、竜神の上からものを言う態度を崩さず、
『されど貴様は既に己が宿る者。この場をもって貴様の力、己に示してみよ』
自身の宿り主である奏鳴にどれ程の力があるのか、試すには絶好の機会に違いない。
だからか、竜神は言った。
好きで宿ったわけではないが、宿ったからには知る必要がある。
宿り主が強いか、弱いかを。
結果によっては宿り主を取り消すことが、最悪竜神には出来る。
竜神と言う存在を保つには、決して宿り主は無くてはならない存在だ。
出来るだけ取り消すことはしたくはないが、宿り主が弱いのであれば同じことだ。
生の力を宿り主から頂き、それを存在を保つための糧とする。
弱ければ生の力も比例して弱く、強ければ生の力は強い。
強い方がいいか、弱い方がいいか。
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