明けに咲く牡丹の花
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ポカンと口を開けた白蓮はその発言に呆気にとられた。何故ならば、彼女の想いの向いているのは自分であり、それが恋心というモノだと理解していたから。
一つ深呼吸をして、牡丹は白蓮の瞳を真っ直ぐに見つめて己が気持ちをぶつける事を決めた。
「私は白蓮様の事が……大好きです。だから無理やりな状況で、心を注がれないままにそうなる事を望んでいません。いつか白蓮様が私を本当に好きになった時に誘ってください。あ、私もしっかりと生き残らなければいけませんね」
優しい微笑みを携えて、最後に舌をペロリと悪戯っぽく出して語られた事に隠された意味を、白蓮も間違いはしなかった。
牡丹なりの引き止めなのだ。主の決断である特攻に逆らう事も出来ず、せめて生きて欲しいという願いであり、共に幸せな未来を歩きましょうという誘い。
そんな事を言われてしまっては彼女は何も言えない。自分が巻き込んでしまうという多大な罪悪感が胸を支配する中、彼女は己が決定を覆すことも出来ず、
「そう……だな。ならさ……今夜は一緒に寝よう。今は家族として、お前の事を想っているから」
そんな返答を行った。白蓮なりの妥協であるのだとしっかりと受け取った牡丹は喜んでと呟いて白蓮を抱きしめ、共に寝台に倒れ込み掛け布を被る。
真っ直ぐに好意をぶつけられた白蓮の顔は紅く、憧れの主と共に寝台で共に寝ているという事実に牡丹の顔も朱に染まる。
互いに無言。何を語らうでも無く、緊張感溢れる場となってしまった寝台の上で二人は互いに温もりを確かめ合う。
「……なぁ、牡丹。じゃあさ、秋斗の事はどう思ってるんだ?」
突然の白蓮の発言に牡丹は戸惑い、素直になれと言った星の言葉を思い出して、本心を主に語り始める。
「むかつく事ばかりしてきますが……あのバカ、秋斗の事は認めていますし気になって仕方ないです。きっとこれも好きの一つのカタチだと思います。白蓮様が一番であいつが二番。そんな感じです」
「そっか。星も慕ってるみたいだから大変だろうな」
純粋に一人を想っている星と二番目だと豪語する牡丹の気持ちのどちらが強いか、などとは考えられるはずも無く、どっちも幸せになって欲しいと白蓮は心の中で願った。
「ねぇ、白蓮様。そんな秋斗から聞いた事があるんですが、口づけは家族の挨拶、という国も大陸の外にはあるらしいんです。だから……眠る前に……」
目を潤ませて牡丹が懇願し、余計な事を、と白蓮は一人の友に毒づいた。
「……初めてだから……うまく出来ないけど……」
「……私も初めてです。お、お願いします」
目をぎゅっと瞑り、牡丹は白蓮に顔を向ける。跳ねる心臓をそのままに、こいつこんなに可愛かったか、と考えながら白蓮は顔を寄せて行く。
二人の唇は重なり、幾重かの
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