第9話 「君はフェイト」
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した。アルフとの約束を守って変なことはしていないはずだが、ファラの表情は険しい。
「マスター……あの子に気があるの?」
「……今の状況でそんな質問するか?」
「だっていつものマスターと違ったもん!」
「……まあ、それは認めるよ」
人並みにある良心から主観的な考えを言ったのはまだいいとして、最後の一言は普段ならまず言わないことだ。
当たり前だった日々は、突然壊れることだってある。
それを知っているだけに、俺は親と会話できることがどんなに嬉しいことで大切なものなのか、よく分かっているつもりだ。
だからふと考えてしまった。この事件が終わった後、あの親子が会話できる時間はあるのだろうか、と。
「……ファラ、庭園に行こう」
「……マスター、熱でもあるの? あの子にたぶらかされたの?」
前半はともかく、後半はどう考えてもおかしい。たぶらかすなんて表現は、俺やテスタロッサくらいの年代の子供には使わないはずだ。ファラはテスタロッサをどのように見ているのか、実に気になる。
心配そうな顔でこちらを見ているが……その裏でテスタロッサに対する黒い思考を考えているのだろうか。もしそうなら……今後は見せる番組を考えないといけない。変にドロドロとした人間関係のドラマばかり見られでもしたら、性格に影響が出かねない。
「熱もないし、たぶらかされてもいない」
「じゃあ何で?」
プレシアに言いたいことがあるから。
テスタロッサが行動を起こしてプレシアと接触した場合、プレシアに何を言うのかが気になるから。それにもし、テスタロッサの心が完全に壊れるような事態が起きた場合、この場に残って知らないふりをするのは気分が悪い。
いや、違う。俺は彼女に行動を起こさせようとした。ならば最後にどうなるのか見届けるのが最低限の義務のはず。
もしかしたらテスタロッサに恨まれたり……心が壊れてしまった場合、俺自身が罪の意識を感じて重荷を背負って生きていくことになるかもしれない。
だが俺とテスタロッサはほぼ他人と呼べる関係だ。そんな相手のことにさえ向き合おうとしなかったら、俺はずっと変われないどころかマイナスの方向に進んでしまう気がする。マイナスの方向に進むのだけは絶対に避けなければならない。心が壊れかけていた俺を今の俺にしてくれた叔母やあの子のためにも。
「……俺が子供だからかな」
「……意味が分からないんだけど」
「何でもかんでも割り切れないってことだよ」
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