暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
妖精のロンド
[4/5]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
色のシャツ、カットジーンズというラフな出で立ちだ。
「ツバキねーちゃん」
「久しぶりね、蓮君。リアルじゃ初めまして、村雨椿って言います」
【風魔忍軍】副長、ツバキはそう言って微笑んだ。
彼女はSAO時代から、《六王》の
頭脳
(
ブレイン
)
と言われていた《老僧の千手》シゲクニの第一補佐官である。一級ギルド内でも、特に有能な補佐官として有名だった。
「あれ?そういやシゲさんさっきから見ないけど、どしたの?」
そう問うと、村雨と名乗った女性は少し困ったように手をおとがいに添えた。
「それが、リアルで連絡が取れないんです。仮想課の方々に聞いても、プライバシーに関する事なのでって言われるだけで………」
「ふぅーん、そういったことって
SAO帰還者
(
ぼくたち
)
には公開されるはずんんだけどなぁ。どーしたんだろ」
そんな会話をしていると、蓮の肩が叩かれた。
振り向くと、そこにいたのは痛んだ金髪の長身の男。
「やっ、れ〜んくん」
「ウィルにーちゃんか」
ずずっ、と烏龍茶の入ったグラスを傾ける。
「主役がこんなトコで燻ってたらダメッスよ〜。みぃんな乾杯の音頭待ってたんスから」
「へ?そーなの」
「そーッスそーッス。ささ、こっちこっち」
言われるがままに車椅子を押され、ちょっとしたステージのような所に連れて行かれる。
「ほらほら、なんか喋って」
「はぁ!?そ、そんなこと急に言われても………」
どもるが、周囲のプレッシャーとは末恐ろしい。
何か喋ろという無言の圧力が、物理的な力となって降りかかってくる。
───うぅ、帰りたい………。
そう胸中で思うが、無論それで帰られるはずもない。
代わりに蓮は、静かに部屋に集まる人々の顔を見渡した。
この二年間。あのデスゲームの中で、小日向蓮という一個人に関わった人々の顔を。
《鬼才》小日向相馬ではなく、小日向蓮と関わった人達の顔を。
イヨが気を利かせたのか、BGMはいつの間にか穏やかなバラードに変わっていた。人々は皆、湖の水面のように静まり返っている。
そこに蓮は───小日向蓮は、波紋を生み出すように語り始めた。
「…………あの世界に閉じ込められた時、僕は皆みたいに、絶対にこの世界に戻りたいとは思えなかった」
────それは────
「だって僕は、ずっと嫌ってた。小日向蓮じゃなくて、小日向相馬の弟っていうレッテルを押し付けてくるこの世界を」
────あの世界を《殺した》────
「だけど、こうして戻ってみて分かったんだ。僕にも、待ってくれてた人がいるって。僕を、小日向蓮のことを信じてくれている人がいるって」
視界の端で、木綿季がそっと手の甲を目尻に
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ