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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三話 戦時から平時へ
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を詰める事になるでしょう。現時点でしっかりやっておく事は部隊編成と補給、通信等の後方支援の体制作りです。私は必ずしも必要ではありません」
若いのに平然としている。大したものだと思うべきなのだろうがどうも可愛げが無い。仲間だから頼りになると思うが自分の息子だったら反発しそうだな。能力は認めるがウマが合わないとか言って。
「まあ確かにそうだな、サンフォード議長を引き摺り下ろす為の作戦案など大っぴらに話せる事ではないだろう。それで我々に話しが有るという事だが?」
トリューニヒトが問い掛けるとヴァレンシュタインが“大事な話です”と言って頷いた。表情が硬い、嫌な予感がした、背筋に寒気が走った。
財政委員長の執務室に四人の人間が集まっている。私、ホアン、トリューニヒト、ヴァレンシュタイン。トリューニヒトは今度の防衛戦の戦費の件でここに来たことになっている。ヴァレンシュタインはシトレの代理人としてトリューニヒトの応援役だ。ホアンは教育関係の予算増額について私と交渉するためにここに来た。表向きはそうなっている。
「和平を結んだ後の事を考えて欲しいのです」
「和平を結んだ後……」
よく分からない、ホアンを見た、彼も訝しそうな表情をしている。トリューニヒトも同様だ。
「いささか気が早いんじゃないか? 先ずは今度の防衛戦の事、政権奪取に集中すべきだと思うが」
トリューニヒトの言葉にヴァレンシュタインが首を横に振った。
「今でも遅いくらいです。一つ間違うと和平が吹き飛びかねません。時間が無い」
トリューニヒト、ホアンの顔を見た、二人もこちらを見ている。嫌な予感がますます強まった、ヴァレンシュタインは何が言いたいのか……。トリューニヒトが口を開いた。
「どういう事かね、中将」
「和平が結ばれれば戦争が無くなるんです。その事が社会に、経済に、同盟市民にどう影響するか、考えた事が有りますか?」
また三人で顔を見合わせた。トリューニヒトとホアンが探るような目で私を見ている。多分私も似た様な目をしているだろう。ヴァレンシュタインが溜息を吐いた、嫌な事をしないでくれ。
「今の同盟は戦時体制に有るんです。帝国との戦争を行い勝利する事を目的に国家が運営されている。和平を結べばその戦争が終結する、つまり同盟は平時体制に戻る事になります、百五十年振りにです。その時、政府は同盟市民から何を要求されるか……」
「……社会の安定と経済の発展か……」
私が答えるとヴァレンシュタインが頷いた。
「その通りです、市民に対して富と繁栄を与えなければならない。大変ですよ、これまでは軍が優先されてきましたが和平が結ばれれば民を優先する事になるんです。特に問題になるのは経済活動ですね。今は軍関係の企業が繁栄していますがこれらは和平が結ばれればあっという間に業
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