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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
聖者の右腕篇
05.真祖の覚醒
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 しかしオイスタッハを古城が放った雷球が襲う。装甲鎧に守られている彼にとっては致命的な一撃ではない。
 だが、少なくとも動きは止まった。

 彩斗がアスタルテ目がけて走り出す。同時に眷獣も彩斗を追いかける。

「──来い、“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”!」

 その声とともに彩斗は地面を蹴り上げ上空へと舞う。舞い上がる彩斗の身体めがけて梟の眷獣は突進する。
 激しい光を放ち、その中から人影が姿を現す。
 その人影は、間違いなく彩斗だ。
 だが、先ほどまで身にまとっていないものが彩斗の身体を覆っている。
 それは先ほどの梟の眷獣の翼のように神々しい光を放つ布だった。
 それは身体を覆うほどの大きさだ。
 まるでヒーローが纏うマントのようだ。
 すると彩斗は、アスタルテへとめがけて駆け出した。
 次の瞬間、神々しい光のマントをまとった彩斗とアスタルテの防御結界が激突する。それと同時に人型の巨大な眷獣は一瞬のうちのその姿を消し去る。
 そこに残されたのは、藍色の長い髪の少女だけだった。
 アスタルテの身体を彩斗は突進の威力もあってか強く抱きしめるようにして地上へと落下する。

「アスタルテ……ッ!?」

 アスタルテは、彩斗の眷獣の力で自分の眷獣を消された時の衝撃で気を失っているようだ。
 それはオイスタッハの計画が潰えたことを意味する。
 動揺する殲教師に雪菜は一瞬で近づく。
 オイスタッハは反応が遅れる。
 装甲強化服で覆われた彼の腹部に、雪菜の掌を押し当てた。

「響よ──!」

 鎧を貫通して人体の内部にダメージを伝える、剣巫の掌打。

「──終わりだ、オッサンっ!」

 追い打ちのように、古城が殲教師の顔面を殴りつける。
 魔力も術もなにもない、真祖の能力など無関係な力任せの強引な一発。それゆえに、それはいかなる魔術でも防御できない。
 オイスタッハは、吹き飛ばされ倒される。




 キーストーンゲート最下層には、恐ろしいくらいの静寂が訪れていた。
 まるで先ほどまでの戦いがなかったかのような錯覚さえも起きるほどだ。
 彩斗は自らの腕の中で眠るように気絶している藍色の長い髪の少女を抱きかかえたまま周囲を見渡す。

 被害は甚大。
 だが、なんとか要石は無事でワイヤーケーブルもほぼ無傷。ギリギリで島は守られた。それを確認し、三人の表情には安堵が浮かべられる。
 彩斗は、一度薄くため息をついて自らの腕の中のアスタルテを見る。
 ひどく消耗しているが、まだ息はある。
 だが、このまま眷獣がいる限り、彼女の寿命はあと数日も保たないだろう。

「はぁー、この娘のためだ」

 彩斗はため息を吐く。
 少しの覚悟を決めた後、気絶している少女を優しく抱き
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