暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
聖者の右腕篇
05.真祖の覚醒
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使うとは、無謀な!」

 雷の獅子の前足が、オイスタッハの巨体を数メートル吹き飛ばす。
 稲妻は一撃で戦斧の刃を融解し、キーストーンゲートの外壁を伝って非常灯や監視カメラを吹き飛ばす。ワイヤーケーブルお固定している巻き上げ機も悲鳴を上げている。

「アスタルテ──!」

 殲教師は人工生命体(ホムンクルス)の名を呼ぶ。第四真祖の眷獣に対抗できるのが彼女の眷獣しかないと判断したのだろう。
 雪菜の攻撃を振り切って、眷獣うぃまとったアスタルテが古城の眷獣の前に立ちはだかる。
 古城の意思に反して、“獅子の黄金(レグルス・アウルム)”が攻撃を仕掛けた。巨大な眷獣の前足が、雷霆と化して、人型の眷獣を殴りつける。
 その瞬間、アスタルテの眷獣を包む虹色の光が輝きを増す。
 神格振動波の防御結界が、古城の眷獣の攻撃を受け止め、反射する。

「うおおっ!?」

「きゃああああっ!」

「マジかよッ!」

 制御を失った魔力の雷が、分厚いゲート最下層の天井が、あっさり撃ち抜かれた。

「くそっ……ダメか! 俺の眷獣でも、あいつの結界は破れないのかよ……!」

 “獅子の黄金(レグルス・アウルム)”の一撃でもアスタルテの眷獣は無傷。このまま攻撃を繰り返せばおそらく建物が耐えられない。キーストーンゲートの外壁が破られれば、一気に水深二百メートルの水圧が古城らを押しつぶすだろう。雪菜は間違いなく即死だし、古城と彩斗もどうなるかわからない。

「先輩……」

 瓦礫に埋もれるかける古城を支えるように、雪菜はそっと寄り添う。彼女の表情にも披露の色が濃い。

「悪い、姫柊。あいつは、倒せないかもしれない……!」

 あと一歩……あと一歩でこの島を救える。それなのに、その一歩が届かない。
 しかし雪菜は、そんな古城を見上げて、華やかに笑った。

「いいえ、先輩。この聖戦(たたかい)は、わたしたちの勝ちですよ」

 えっ、と訊き返す間もなく、雪菜と古城の前に出る一人の少年。
 肩を回して少し、気怠さがこんな状況で伺える彩斗だ。

「それじゃあ、いきますかっ!」

 気合を入れ直すような声を上げ、彼が右腕をアスタルテへと向ける。
 その右腕が、鮮血をまとう。

「“神意の暁(オリスブラッド)”の血脈を継ぎし者、緒河彩斗が、ここに汝の枷を解く──!」

 鮮血から激しい突風を巻き上げながら右腕の魔力の塊が徐々に眷獣の姿へと変化されていく。

「──降臨しろ、三番目の眷獣、“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”──!」

 形をなした魔力の塊は、神々しい光を放つ翼を持つ梟が出現した。

「ぬ、いかん!」

 彩斗の狙いに気づいたオイスタッハが、彩斗へと戦斧を投げようとする。

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