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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
聖者の右腕篇
05.真祖の覚醒
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われてもあんまりピンとこなかったんだが、ちょっとわかった気がするな。死にたくなっても死ねずに何百年も何千年も一人きりで生き続けるのは……たしかに呪い以外の何物でもねーよ」
溜息のように呟く古城を、雪菜は黙って見つめ、彩斗はどこかかなしげな顔で訊いている。
不老不死とは言われていても、吸血鬼は完全に不死身というわけではない。特に魔力制御する脳や、血液循環を司る心臓は弱点である。
そこに深刻なダメージを受ければ、”旧き世代”といえども確実に死ぬ。
だが、第四真祖の古城の肉体は少し違った。
完全に破壊された心臓までもが再生し、流れ出た血すら、その大半が逆流して戻った。
「だからって、どうしてわたしを庇ったりしたんですか!? 呪いだろうがなんだろうが、必ず復活できる保証なんかないんですよ! 生き返れなかったら、どうする気だったんですか!?」
雪菜が、本気で怒っているような口調で古城を問い詰める。
「そうなんだけど、でもよかったよ」
「なにがよかったんですか!?」
「いや、姫柊が無事だったから」
古城の何気なく口にした言葉に、雪菜は動揺する。
「……て……よかったんです」
雪菜の言葉に戸惑う古城は首を傾げる。
「え?」
「先輩は、わたしを庇ったりしなくてよかったんです。もう忘れてしまったんですか。わたしがここに来たのは先輩を殺すためなんですよ」
感情をなくしたように雪菜が呟く。
言葉を出そうとするが古城はその言葉を飲み込む。
今の雪菜の雰囲気が、アスタルテと呼ばれていた少女と重なる。
「あの殲教師が言ったことは本当です。わたしは使い捨ての道具です。ずっと前から気づいてはいたけど、認めたくなかったんです……だから、わたしが死んでも、誰も悲しまない。でも、先輩は違うじゃないですか……!」
「姫柊……」
うつむく雪菜が、泣き出すのをこらえるように古城に背を向ける。
オイスタッハとの戦いの中、雪菜の動揺の理由がわかってしまった古城。
わずか十四歳で、ロタリンギアの殲教師をも圧倒する戦闘能力を持つ、獅子王機関の剣巫。
そんな雪菜は戦いの中で戦いの道具として造られたアスタルテに、自分の姿を重ねてしまったのだ。
そんな彼女を追い詰めたのは、自分かもしれない。
第四真祖の力を手に入れながら、ただの人間として生きようと足掻く古城の姿を、雪菜はここ数日見続けた。
戦う力を得るために、当たり前の日常を捨てた雪菜。
そして誰よりも強大な力を与えられながら、つまらない日常を選んだ古城。
「…………」
顔を伏せたまま動かない雪菜を、古城は途方に暮れた表情で眺めた。
古城の代わりに雪菜が傷ついていいわけがない。何を言
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