第百六十六話 拉致被害者解放への道
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3では無謀です」
「100対12だ、本艦は司令部に連絡しなければ成らない以上、誠に遺憾ながら戦闘に参加する事が出来ない、急速に撤退し味方の増援を呼ばねばならないのであるから」
艦橋に沈黙が走るが、お前等だって命は惜しかろう、共犯だ!
「司令、その様な事が通じるとお想いですか?」
ラオの細い眼が更に鋭くなって俺を睨む、何だと言うんだ、文句があるのか!
「敵艦より通信が入っています」
俺とラオとの睨み合いを制するように通信士が声を出した。
「スピーカーに繋いでくれ」
俺を無視してニコルスキーが命令を出す。
『接近する。攻撃の意志はない。貴艦に停戦を求める』
スピーカーから思いも依らない言葉が流れてきた。
「停戦だと?」
「繰り返し、そう言っています」
「罠ではないのか?」
「高々13隻を潰すのに罠を張る事もないでしょう」
「敵艦隊、当方との相対速度を艦砲の射程距離ギリギリに留め居てます」
「司令、取りあえず応答した方が良いかと」
確かに、撃たないというのであれば、可能性が有るが……
『我々は銀河帝国軍として、名誉ある一時停戦を求めるもので有る』
「司令」
仕方ない、このまま行っても死ぬだけなら、聞くしかないな。
「判った。帝国軍との通信回線を開け」
俺の言葉に艦橋でホッとした空気が流れた。
通信士が了解の通信を入れると艦橋スクリーンに帝国軍人が2人映り、見事な敬礼をしてくる。
『停戦を感謝する。小官は銀河帝国軍宇宙艦隊所属アレクサンデル・バルトハウザー准将で有ります』
『小官は、統帥本部所属アルベルト・フォン・ベンドリング大佐で有ります』
見事な敬礼だ、俺も負けられん。
「自由惑星同盟軍所属グレドウィン・スコット大佐で有ります」
「同じく、作戦参謀のニコルスキー大尉であります」
『先ほどより連絡しているように、当方は貴艦隊を攻撃する意志はありません』
いったい何を考えている?落ち着け。
「停戦とはいったいどの様な事ですかな」
俺の問いに、ベンドリング大佐が答える。
『つい二週間前、皇帝陛下の思し召しにより、帝国貴族に抑留されていた民間人と捕虜併せて300万人を其方へ帰国させ、当方の俘虜と交換する事を、フェザーンの其方の高等弁務官へ書簡を送ったのですが、2週間経っても梨の礫なために、此方から直接ご連絡をする事にしたわけです』
何だって、300万人もの捕虜が帰ってくる、それの切っ掛けが俺になるのか、此は出世のチャンスだ。旨く行けば少将も夢じゃないぞ。
「成るほど、それは素晴らしい事ですが、小官の一存で済む問題でも有りません」
『それはそうでしょう。当艦隊は此で帰還しますので、其方の上層部への連絡をお願い致したい』
「了解した」
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